ヘンリー王子メーガンさんが英王室との親しさをアピールするのは、この度の見直しで、サセックス公爵と公爵夫人の称号が剥奪される可能性が出てきたからだ。2人は王室離脱後、カナダのバンクーバーからカリフォルニア州に飛び、現在は同州サンタバーバラの約15億円といわれる豪邸にアーチー君と暮らしている。アメリカの動画配信サービス会社、ネットフリックスとは100億円超えの大型契約を結び、スウェーデンの音楽ストリーミングサービス、スポティファイとは、約40億円の契約をした。ヘンリー王子が母ダイアナさんを亡くした後の精神的ダメージを話した講演料は、少なくとも5千万円といわれている。

 経済的に成功を収めたのだろうが、それはサセックス公爵と公爵夫人のタイトルを存分に使用したことが大きな理由とされる。チャンスが与えられたのは、2人が公爵(夫人)の称号を持つからこそというのが大半の見方だ。イギリス貴族の称号は、途方もない利益を生み出す「打ち出の小づち」なのである。

 その一方で、英王室に後ろ足で砂をかけるような言動も目立つ。王子は、イギリスと旧植民地からなる英連邦の若者を支援する慈善団体主催の会議で、「イギリスは過去の過ちを認めるべきだ」と発言したが、少なくとも英王室の「王子」である人物の言葉ではないとイギリス国民から批判された。また、メーガンさんはアメリカ大統領選挙前に、「今こそ“変化”が必要だ」「ヘイトスピーチを拒否しよう」と力説した。トランプ大統領(当時)ではなく、バイデン候補(当時)への投票を勧めたのだ。この発言に対し、アメリカの下院議員(共和党)が駐米イギリス大使宛てに、抗議の公式書簡を送付。それは、称号剥奪を要求する厳しい内容だった。

 選挙への介入は、政治的ニュートラルを貫く王室のあり方に反する。イギリスの新聞「デイリー・エクスプレス」は、今年1月2日に2人の称号剥奪を問うアンケート調査をし、約2万6千人から回答を得た。その92%にあたる人が「YES(剥奪すべき)」だった。公務をしないで外国に住み、王室の名前を使って荒稼ぎをする2人に対して怒りを覚えるイギリス国民も少なくない。

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