■NG2「テーブルはいきなり水拭き」

 テーブルはまず何で拭くか。水拭き、除菌シート、アルコール消毒液をシュッシュとやる人もいる。いずれもNGだ。

 家のなかのウイルスや病原菌はほとんどの場合、ホコリなどのハウスダストと混ざって存在している。テーブルのホコリはふわっとした取り除きやすい状態だ。しかし、いきなり水拭きをしてしまうと、ホコリや汚れが水の力で雑巾やクロスに張り付き、テーブル全面に「塗り広げて」しまうことになる。

 さらにアルコールは消毒剤であると同時に溶剤でもある。油汚れなどが付いている場合、油を溶かし、ウイルスなどと混ざってコーティングしてしまい、アルコールが接触しないウイルスの割合が増え、消毒効果を半減させてしまう。

 では、どうするべきか。すべての汚れは「まずは乾拭き」が正解。使うのは繊維が細かく小さな粒子を回収しやすいマイクロファイバークロスがおすすめ。

 拭き方にもポイントがある。進行方向を逆方向に戻すなどしてクロスを往復させてしまうと、せっかく先頭部分にたまっていた汚れが残ってしまう。クロスの先頭が変わらないよう、テーブルの端まで来たらUターンして、S字に拭いていく。先頭のホコリや汚れを「運んでいく」イメージだ。床をモップやワイパーで拭く場合も同様だ。

 この乾拭きだけでも汚れはかなり落ちるが、最初に水拭きした場合は汚れを増やしてしまう。

 もちろん、乾拭きだけでは取れない汚れもある。汚れに応じて洗剤や消毒液を使うことも必要だ。油汚れがある場合は乾拭きをした後に洗剤拭きをする。飛沫が気になる場合は、消毒剤を使って拭く。最後にまた、一方向S字の乾拭きで汚れを「どかす」。つまり最初と最後は必ず乾拭き。これを汚れがとれるまで繰り返す。

「見た目の汚れがとれさえすればいいのであれば、いきなり水拭きでもいいでしょう。でも、それではホコリやウイルスが除去できません」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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