さらに、総合型選抜の選考が進み、学校推薦型選抜の実施内容が明らかになるにつれ、新たな問題が浮上。全高長は全国の高校を調査し、10月22日、文科省に調査結果を提出。オンライン入試で生徒が一方的に不利益をこうむることのないよう、改めて大学への徹底を求めた。

 関西地方の高校教員(59)は生徒が自宅でオンライン面接を受けることになった場合、プライバシーが守られるのかが不安だ。面接は不正防止のため録画を条件としている大学が多い。

「生徒の背景に映りこむものは個人情報のかたまりです。生徒の読んでいる本、その家の経済状態や宗教、支持政党までわかってしまう可能性もある。そのプライバシーがどう扱われるのか。背景に映りこむものが選考に影響しないか心配です」

■高校を面接会場に指定

 一方、都内の私立高校の進路指導の教員(36)は保護者からこんな相談を受けた。

「総合型選抜のオンライン面接で、大学は背景に余計なものが入らない空間を条件にしているが、自宅では難しい。学校の教室を使わせてくれないか」

 しかし、高校では十分な対応ができないため、教員はWi-Fiが完備されているホテルか会議室の部屋を借りることを提案。保護者はホテルの部屋を借りることにした。教員は言う。

「ところが、ここに来て頭の痛い問題が起きています。学校推薦型選抜の指定校推薦で、大学が高校を面接会場に指定するケースが出てきているのです」

 推薦入試は土日の実施が多いが、この教員の学校は土曜日も授業がある。土曜日が入試日になった場合、面接の最中にチャイムが鳴ったらどうするのか。休憩時間中は部屋の外は騒がしくなる。面接には教員が付き添うことになっているが、授業と重なった場合にどうするのか。

「大学がコロナ対応に苦慮していることはわかりますが、同じ日時に複数の面接が重なった場合、その分の部屋や機器を準備することは難しい。また、教員が休日対応する場合、教員の手当について大学はどう考えているのでしょうか」

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