──長島さんが提案された大浦湾を埋め立てない「縮小案」で、普天間飛行場は返還の見込みが立つのでしょうか。

長島:有事を想定した場合、そもそも普天間閉鎖を実現できるかは微妙です。個人的には、辺野古が現行計画通り完成したとしても、そう簡単に普天間は戻るかなと思っています。(台湾有事など)何かあったときには普天間を使えるようにしておきたいという米側の願望は強い。普天間飛行場の「有事」活用の余地を残しつつ、辺野古の滑走路は大幅に縮小する、というのが私の考えです。

屋良:有事の際は沖縄で収容しきれない増援部隊が米本国から派遣されます。過去の戦争では海兵隊だけでも9万人規模の兵力が動員され、空軍機も1千機を超えます。それをどこで受け入れるかという議論は平時にやっておく必要があります。そもそも受け入れる土壌が日本にあるのか。じつはそれが日米同盟の信頼性が試される局面です。普天間のオスプレイの訓練分担にすら応じてもらえないようでは、日本は信頼できるパートナーなのかと米側は疑念を抱くでしょう。国民に負担の必要性を説き、理解を得るのは「保守」を標榜する政治家が本来率先して取り組まなければならない課題です。

──「辺野古」については長島さん以外にも、元防衛相の中谷元さんが「軍民共用」や「日米の共同使用」を提案したり、石破茂さんも講演で「検証」に言及したりと自民党内で「見直し」の動きが見られるものの広がらないのが実情です。

長島:たしかに自民党内で議論は広がっていません。私もそうですが、中谷さんや石破さんも「辺野古断念」には踏み込んでいません。今の計画に少しでも疑問符をつけることへの躊躇が政府与党内には根強くあります。2009年の民主党政権で防衛政務官として「辺野古」にかかわった者として自戒も込めて言うのですが、鳩山政権時の迷走を繰り返すまいという意識が強いのだと思います。当時、沖縄県外への移設を模索しましたが、日米関係が悪化した上に、結局は辺野古に回帰し、東京と沖縄の関係も壊れてしまった。

次のページ