「辺野古」の見直しは進むのか。(右から)民主党政権でも問題にかかわった長島議員と地元選出の屋良議員は可能性と課題を指摘する(写真:本人提供)
「辺野古」の見直しは進むのか。(右から)民主党政権でも問題にかかわった長島議員と地元選出の屋良議員は可能性と課題を指摘する(写真:本人提供)
辺野古沖では海底に軟弱地盤が見つかり、総工費は従来計画の2倍超の9300億円に (c)朝日新聞社
辺野古沖では海底に軟弱地盤が見つかり、総工費は従来計画の2倍超の9300億円に (c)朝日新聞社

 陸上イージスの配備計画中止が可能なら、政府がこだわる「辺野古」はどうなのか。AERA 2020年8月24日号は、見直しを提言した長島昭久議員と沖縄選出の屋良朝博議員に聞いた。

【写真】2018年12月に始まった辺野古新基地の埋め立て

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 イージス・アショアの配備計画中止、迫る安倍首相の総裁任期など防衛を巡る環境が大きく変化する中、政権が沖縄の反対を無視して進めてきた辺野古沖の新基地建設にも見直し論が浮上した。問題を提起した長島昭久衆院議員(自民)と、沖縄選出で防衛問題に詳しい屋良朝博衆院議員(国民)が対談した。

──イージス・アショアの配備計画中止を受け、長島さんは即座にSNSで「辺野古見直し」を発信されました。この真意は。

長島:単に「辺野古はダメ」という話ではありません。私は対中抑止の観点から米海兵隊が沖縄に駐留する意義はあると考えています。一方で沖縄の負担軽減も重要です。政府は「一日も早く辺野古の工事を完成させて普天間飛行場を閉鎖したい」と言いながら、なお12年かかるという。問題は、軟弱地盤が判明した大浦湾の埋め立てです。とてつもない時間と青天井のコストがかかる作業をこのまま進めていいのか。私の案は、大浦湾の埋め立てを断念し、埋め立てが完了している浅瀬部分を活用してオスプレイの運用に供する、というものです。現計画で1800メートルの滑走路は500~600メートルに縮小されますが、離発着には問題ないので、米側との交渉の余地は十分あると思います。

屋良:これまで政府が「唯一」と固執してきた案に一石を投じる姿勢には敬意を表します。沖縄が戦略的に重要な位置にあることは誰も疑わない一方、沖縄にいなければ海兵隊は機能しないのかというと疑問です。必要な施設が整えば、海兵隊はどこでもフィットします。問題は日本政府がどこに基地を提供するかです。本来、日米同盟がしっかり機能すれば十分な抑止力になりますが、万全とは言い難いのが現状です。日本政府は沖縄の海兵隊について、佐賀空港での訓練も、約1500人の岩国基地(山口県岩国市)への移転も、地元の反対で断念しました。当時の外相は岩国市まで赴き、「お騒がせしました」と謝罪しました。沖縄からみれば「それはないでしょ」ということの繰り返しなんです。

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