同大では在学生が中心となって、高校生を支援する「Jスタッフ」を組織し、5月20日から毎日交代し、オンラインで、受験生の個別相談に応じている。

「新型コロナの影響でさまざまなイベントが中止になり、大学の生の姿を発信することができなくなった。学生とも協力し、できるだけ受験生に情報を届けていきたい」(上原さん)

 新型コロナに、いち早く対応したのが東京都市大だ。文科省の通知を受け、7月8日に入試変更を発表。入試部入試センターの小澤亮賀課長は言う。

「入試変更は通常、入学センター運営会議や教授会などの会議体を経て承認されます。事前に変更パターンを数多く想定し、文科省の発表後、速やかに対応できるよう準備していました」

 6月下旬にはオンラインでオープンキャンパスを開催。1千人以上の受験生からアンケートをとったところ、情報がないことを不安に感じていることを実感したという。今回、東京都市大がオンラインで行うのは、学校推薦型選抜の面接だ。

「大学生ならパソコンを1人1台持っている前提で考えられますが、高校生は果たしてそれでいいのか、スマホで代用できるのかなど、学内でもいろいろと検討しました」(小澤さん)

 オンライン面接では、志望動機などをプレゼンテーションしてもらい、その後質疑応答。公募制は面接のほかに、事前に提出した小論文や、志望理由書、活動報告書などに基づいたプレゼンを行う。各学部が「オンラインで実施する特色ある入試」として、学部の学びが見えるようにしていく。詳細は8月中に発表の予定。

「本来であれば受験生をよく知るために、対面式で行いたいのが本音。しかし新型コロナがどうなるかわからない状況で、受験生の感染リスクを減らそうという思いもある」(同)

 ネット環境を整えられない受験生に配慮して、大学で受験することも可能とした。公平を期して大学で行う場合でもオンラインを使用。一般選抜の対策として、従来の学外試験場に加え新たにキャンパス近隣に試験場を増設し、受験生の密集化を避け、移動リスクを軽減する。

 ことオンラインの活用で先をいくのが、東洋大だ。13年には紙のパンフレットを廃止、すべてオンラインに変えた。5年ほど前からは各学部の模擬授業をネットに公開。現在は640本の授業を閲覧できる。東洋大の専任教員は約770人で、8割以上の教員の模擬授業をオンラインで体験できる。その狙いを、入試部の加藤建二部長は言う。

次のページ