「ファンも選手も一緒に楽しめる番組になったのは、矢部さんにサッカーへの深い愛情と選手へのリスペクトがあったからだと思います。番組でも出しゃばらずにゲスト出演した選手の魅力を引き出していました。そういう姿勢が選手たちにも伝わり、自らインタビューを希望する選手や、ミックスゾーンで足を止めてくれる選手もいたそうです。矢部さんだからさまざまな話を引き出せてきたと思います」

 番組には各年代のほとんどのスター選手が出演し、ベッカムやジダン、メッシら海外の有名選手も登場。番組出演を望む選手も多かったという。

「サッカー選手の中では『徹子の部屋』的存在で、一度は出たい、ステータスの高い番組。海外選手からの知名度も高いと聞いています」(佐藤さん)

 テレビ朝日は01年から、アジアサッカー連盟(AFC)が主催するW杯予選やオリンピックのアジア最終予選などの放映権を獲得し、日本代表戦を独占的に放送してきた。サッカー関係者によると、「やべっちF.C.」は代表戦の放映局であることを活用した構成で視聴率を集め、スポンサー収入で代表戦の非常に高額な放映権料を回収する存在でもあった。

 だが、AFCとの現在の契約は20年までで、テレ朝がこれまで通り独占的に契約できるかどうかは不透明。背景にあるのは、放映権料の高騰だ。(編集部・深澤友紀)

AERA 2020年7月20日号より抜粋