番組打ち切りが報道されてから初めての放送で、矢部さんは「おじいちゃんになるまで(サッカーを)盛り上げたい」と発言した/写真は2019年3月17日 (c)朝日新聞社
番組打ち切りが報道されてから初めての放送で、矢部さんは「おじいちゃんになるまで(サッカーを)盛り上げたい」と発言した/写真は2019年3月17日 (c)朝日新聞社
J1清水の鄭大世選手は番組への思いをツイッターに書き込み、「やべっちFC4eva」とハッシュタグを付けて番組存続を呼び掛けている(撮影/編集部・上栗崇)
J1清水の鄭大世選手は番組への思いをツイッターに書き込み、「やべっちFC4eva」とハッシュタグを付けて番組存続を呼び掛けている(撮影/編集部・上栗崇)

 ファンや選手から愛されてきたサッカー番組に打ち切りとの報道が相次ぐ。独自の企画でサッカーの魅力を伝えてきた番組には、選手からも存続希望の声が挙がっている。AERA 2020年7月20日号の記事を紹介する。

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 7月1日、ナインティナインの矢部浩之さん(48)が司会を務めるサッカー情報番組「やべっちF.C.」(テレビ朝日系)が8月で打ち切りになると、スポーツ紙が報じた。驚きと落胆の声が広がる中、真っ先に番組存続を訴えたのは現役のJリーガーたちだった。

 J1・清水エスパルスに所属する鄭大世(チョンテセ)選手(36)は同日、「Jリーグ、サッカーファンにとっても決して無くしてはならない天然記念物並の番組です 子供達の夢もここから生まれます」と番組への思いをつづり、「#やべっちFC4eva(フォーエバー)」のハッシュタグをつけて投稿。リツイートは1週間で4万3千件を超えた。同じ清水の金井貢史選手(30)も「絶対続けてほしいです! やべっちFCとともに歩んできたサッカー人生!」とリツイート。J1・FC東京の三田啓貴選手(29)も「やべっちで育ちました! 終わってほしくない」と投稿するなど選手たちの発信も相次いでいる。

 テレビ朝日は本誌の取材に「現時点で決まったことはありません」と回答した。だが複数のメディアが同じ内容を報道し、選手たちとファンの願いとは裏腹に、終了への流れは止めがたいものにみえる。

「やべっちF.C.」は日韓ワールドカップを控えた2002年4月に始まり、18年以上も続いてきた。選手自らがカメラを手にキャンプをリポートする「デジっちが行く!」や、試合後のミックスゾーン(取材エリア)で得点を挙げた選手に自身のゴールシーンの映像を見て解説してもらう「解説するっち」など独自の企画を通して、ファンばかりでなく、サッカーをよく知らない人たちにも競技や選手の魅力を伝えてきた。

 今年5月に「NumberWeb」で番組についての記事を書いたスポーツライターの佐藤俊さんは、番組が長年支持されてきた理由をこう語る。

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