「かつては紙パックの焼酎やカップの日本酒にまみれて自宅で酔いつぶれている姿がアルコール依存症の人の代名詞でした。しかしこの数年、飲酒内容がストロング系缶チューハイに変わってきています」(斉藤さん)

 考えられる理由はいくつかある。ビールなどに比べてプリン体や糖質が少なく、健康を気遣いつつ飲めるイメージがあること、さわやかな印象を与えるCMやパッケージデザインで女性も手に取りやすいこと、炭酸やかんきつ系の風味が利いていて喉越しよく飲めること、値段が安いことなどだ。いずれもお酒への抵抗感を少なくしている。

 しかし、アルコール度数9度ということは、ストロング系チューハイ500ミリリットル缶1本に含まれる純アルコール量は36グラム。アルコール度数40%のウイスキーをシングル1杯(30ミリリットル)飲んで摂取する純アルコール量は9.6グラムなので、約4倍にもなる。これをグビグビッと2本、3本と飲めば、あっという間に大量のアルコールを摂取してしまう。なお、ストロング系缶チューハイを3本飲んだときの純アルコール摂取量は、ウイスキーをシングルで11杯飲んだときの純アルコール摂取量とほぼ同じだ。(ライター・羽根田真智)

AERA 2020年7月13日号より抜粋