※写真はイメージ(gettyimages)
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AERA 2020年7月13日号より
AERA 2020年7月13日号より

 テレワークの機会が増え、まだ明るい時間につい“プシュ”といい気分に浸る人は多いだろう。ただ、大量飲酒が続くと、いい気分では済まなくなる。AERA 2020年7月13日号は、飲酒量の増加がアルコール依存症を招く危険性を警鐘する。

【あなたの飲んでるお酒の純アルコール量はどのくらい?】

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「ほんっと、多いな」

 週1回のビン缶回収日。ゴミ収集員がぼそっとつぶやく声が家の前から聞こえて、東京都世田谷区に住む女性(46)は身が縮む思いがしたという。

 緊急事態宣言発令以後、自宅飲みが日常になった。在宅勤務で仕事開始時間が朝7時と早くなったため、夕方5時には仕事を終え、晩酌の準備を始める。シラス、大根おろし、冷ややっこ、焼きナス。テーブルの上には日本酒のアテがずらりと並ぶ。夫と2人、一升瓶を半分ちょっと空けたら、第2ステージに突入。今度は肉中心のつまみで赤ワイン。1本空けても夜9時前。寝るには早いと、第3ステージへ。ソファへと場所を移し、白ワイン片手に、撮りためたビデオを見る……が、翌朝、「どんな内容だったっけ?」と夫と首をひねることがほとんど。

 土日は外出自粛が続いたためやることがなく、明るいうちからワインをダラダラ飲む。木曜日のビン缶回収日にはワインの空き瓶16~18本、日本酒一升瓶3~4本。空き瓶の数で酒量が「可視化」され、毎回、自己嫌悪に襲われる。

「コロナ感染が先か、アルコール依存症が先か」

 そう、真顔で話すのは、神奈川県在住の独身男性(49)だ。テレワークが中心になり、会議や商談はオンライン上で行うため、酒臭さが気にならなくなり、マズイと思いつつ、つい、昼食にビールを飲んでしまう。夜は夜で、行きつけの飲み屋は閉まり、飲み会も一切なくなった。毎晩、暇を持て余し、ネットドラマを見ながらまとめ買いしているビールや缶チューハイを一人黙々と飲む。パソコンの前で“寝落ち”して朝を迎えることが増えた。

「オンライン飲み会で延々何時間も。気が付いたら明け方」「終電を気にせずに飲めるので、つい杯が進む」など、外出自粛や在宅勤務で酒量が増えたという人の声をよく聞く。

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