それらをクリアした第2ステップが、社会への還元だ。新型コロナによる収入減や今後の生活に対する不安が少ない人は、消費や寄付に回すことで、社会に貢献できる。

 松崎さんが還元先候補の一つとして挙げるのが、ふるさと納税だ。

 緊急事態宣言が出された時、財源不足で独自の休業補償などを出せない自治体は少なくなかった。第2波に備えて今後も自治体にかかる負担は大きく、インバウンドで潤っていた観光地の打撃も計り知れない。

「だからこそ、国からもらったお金で困っている自治体を応援することは、意義ある使い方だと思います」(松崎さん)

 ふるさと納税で控除される金額は収入や家族構成などで変わってくる。給与収入400万円で共働きや独身なら4万2千円、600万円なら7万7千円程度が上限、といった具合だ。これを超えると控除はされないが、行きたかった旅行先やゆかりのある自治体などに、純粋な寄付という気持ちでプラスアルファで申し込んでみるのもいいだろう。

 コロナ禍で苦境に陥った生産者や販売者、飲食店やホテルなどを支援するサイトや、公演中止に追い込まれた劇団やミュージシャンを応援するクラウドファンディングも多数立ち上がっている。こうしたサイトを利用する手もある。松崎さん自身は、チケットを購入したが中止になったクラシックの演奏会の払い戻しをせず、そのまま寄付する予定だという。

「公益財団法人の形態を取るオーケストラなどは、利益を出せない構造なので有事に備えた積み立てをすることができません。『密』を回避するためには今後も客を減らさざるを得ず、収益が下がるでしょうし、国に代わってお金を落とそうと思います」(同)

 家計簿&家計管理アドバイザーのあきさん(42)は、今年14歳、10歳、6歳になる子どもと夫の5人暮らし。総額50万円が入ってくることになる。

「大学生以上なら子どものお金は子どものものとすべきかもしれませんが、我が家はまだ小さいので、世帯単位で使う予定です」

(ライター・羽根田真智)

AERA 2020年6月29日号より抜粋