AERA 2020年6月29日号より
AERA 2020年6月29日号より
AERA 2020年6月29日号より
AERA 2020年6月29日号より

 特別定額給付金の支給がすべての自治体で始まった。もちろん自身の生活を立て直すことが第一。それが整ったら、意思を持って使いたい。使い方次第で自分が好きなものを応援し、社会に還元することができる。AERA 2020年6月29日号に掲載された記事を紹介する。

【アンケート結果】定額給付金10万円は何に使う?

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 栃木県在住の会社員女性(49)は先日、家族と相談し、特別定額給付金を旅行に使った。行き先は栃木県内の、普段なら躊躇するような金額の高級温泉旅館だ。

「越県」を避けるために栃木県在住者のみを受け入れており、部屋の稼働を半分にするなど、新型コロナ感染拡大対策をしっかりとっていると感じられるところを選んだ。

 滞在中は一歩も外に出ず、旅館で地元のこだわり食材を楽しんだ。スタッフからは「コロナで不安ななか、この宿を選んで来てくださってありがとうございます」と声を掛けられた。

「不安な状況下でもお金を回したいと思い、貯金という考えはありませんでした」(女性)

 国民1人あたり一律10万円が配られる特別定額給付金。総務省は16日までに全1741市区町村で給付が始まったと発表し、その使い道に思いを巡らす人は多い。アエラが6月13~16日にかけてインターネットで行ったアンケートでは、9割以上の人が使い道を「決めている」「だいたい決めている」と回答した。

 消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんはこう話す。

「給付金は、コロナ禍で苦労している国民みんなの役に立つことに使い、広く経済を回すことが望ましい。ただし、そのためにはベースとなる自分の生活がしっかり整っていることが大前提です」

「毎月勤労統計調査」によれば、4月の残業代や休日手当は前年同月比12%減。夏・冬のボーナスが減額される可能性も高い。家庭の収支がどうなっているか現状を確認することが第1ステップだ。

 家賃や税金など、必要な支払いがある人は、まずはそこに回す必要がある。自営業や個人事業主の人のなかには、収入の減少や失業で、国民年金保険料を納めることが困難な人もいるだろう。保険料の免除制度はあるものの、免除された期間分、年金を受け取る際に減額されてしまう。10万円を保険料にすれば、将来への影響を小さくすることができる。

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