だが、全ての高校がオンラインに対応できているわけではなく、入試のスケジュール自体も不透明だ。こうした現状を受け、「螢雪時代」編集部大学入試分析チーフの小林弘明(ひろあき)さんは今後、AOや指定校推薦の志望者が大きく増えると予測する。だが、そこにも波乱が生じている。

「リスク回避でAOや推薦で決めたいという生徒は多くなると考えられます。しかし、長引く休校で高3からの成績挽回を狙っていた生徒は出願要件を満たせず、インターハイを意識していた生徒は、強みにするはずだった活動履歴を作れなくなってしまいます」

ウイルスの影響を感じているのは高校だけではない。東大では、推薦入試の出願書類に活動実績を書く欄がある。コロナ禍でコンテストや試験が中止になる今、受験生の活動の場が失われていることを危惧しているという。同大副学長の武田洋幸(ひろゆき)さんは言う。

「個人的な見解ですが、推薦入試を目指す生徒にとっては不安な状況になると考えています。安心して受験できるようなメッセージをできるだけ早く出したいと思っています」

(編集部・福井しほ、石臥薫子)

AERA 2020年5月25日号より抜粋

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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