病床数の確保については、厚生労働省が4月3日、病院以外で療養する際の対象者や方法をまとめた指針を公表している。国内では当初から感染者は全員入院の措置をとっていたが、感染の広がりを踏まえて病院以外で療養できる仕組みに移行し、都内では7日から軽症者を宿泊施設に移し始めた。

 しかし、必要な医療資源が医療現場に行き渡っていない状況もあるようだ。都内の40代の男性開業医が言う。

「多くの病院で防護具が足りておらず、マスクがあるところも1個を3日間連続使用しているなど、感染リスクが高いまま、従事しないといけない環境が続いています。確実に医療崩壊が起きると誰しもが感じています」

 緊急事態宣言を定める特別措置法では、メーカーや販売業者らに対して医薬品やマスクの保管を命じたのに従わない場合などに罰則規定がある。前出の猪口氏も「緊急事態宣言が出たことで、改善されることを期待しています」と話した。

 ただし、医療スタッフの確保については厳しい見通しを示す。

「例えば、高齢のリタイアした医師に現場に戻って働いてもらうというのは、あまり現実的ではないように思います。今は限られた人員でそれぞれ踏ん張らなければならないのかもしれません」(猪口氏)

 厚労省は3月以降、都道府県などに対して事務連絡で「医療提供体制等」の検討や整備について要請している。厚労省の担当者はこう現状を説明する。

「感染防御に必要な資材については都道府県を通じて状況を聞き取りしています。患者の搬送などで受け入れを調整する必要が必ず出てくるので、都道府県で対応できるように体制の検討をお願いしています」

(編集部・小田健司)

AERA 2020年4月20日号より抜粋