又吉:いろんな“才能”があると思うんです。没頭できるとか、自分の作るものを信じられる、とか。やめないで、続けていくこともひとつの才能だし。
山崎:まさにそうだと思います。僕が自分の才能であってほしいのは「好きで、それを続けていく」思いを持ち続けられることだと思っています。
又吉:続けることってひとつの能力ですからね。自分を疑ったり、やめてしまうほうがラクだし、僕もそういう人をいっぱい見てきた。それに結局、僕にはこれしかできなかったんですよ。自分で考えた物語を作品にしていく以外にできることがない。ある意味、鈍感なのもよかったんでしょうね。「2年後には売れるだろう」とずっと思ってたし、親にも「あと2年くらいでなんとかなりそうや」って、毎年おんなじこと言ってましたから。
山崎:(笑)。
又吉:俳優さんっていろんな役を演じるし、感情の切り替えとか大丈夫かなあって思うんです。うまく解消できてます?
山崎:いや、けっこう訳わからなくなっています(笑)。でも、以前よりは「こうしたほうが息苦しくないかな」「ラクになるかな」という感覚を自分なりに見つけられているかな。
又吉:とにかく健康でいてください。無理なさらず。
山崎:ありがとうございます!
(フリーランス記者・中村千晶)
※AERA 2020年4月13日号より抜粋