中国、ネパール、フィリピンなど、多国籍の生徒が学ぶ日本語指導の現場。日本語指導が必要な生徒に支援が行き届いていない実態が問題視されている。AERA 2020年3月9日号では、日本語指導が必要な児童の進学の実態について調査した。
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たぶんかフリースクール(東京都荒川区)は、学齢超過の子どもの高校受験を支援する数少ない組織だ。中国やフィリピン、ネパールなど多国籍な学生が毎年50~60人学んでいる。
授業は1日5時間、週4日間実施される。日本語だけではなく、高校受験を見据え、数学や英語の授業もあるが、国語の授業はない。必要がないのではなく「お手上げ」なのだ。
「国語はほとんど点数が取れません。理科や社会も難しいです。日本語で問われるため、学力とは関係なく、点数をとることができません」(枦木さん)
東京都では入国後の在日期間が3年以内の外国人生徒を対象とした、面接と作文のみで実施する特別枠の入試とは別に、来日6年以内で日本語指導を必要とする生徒には、国籍を問わず試験問題にルビを振る特別措置をとったり、来日3年以内の外国籍の生徒には辞書の持ち込みも許可したりする措置も実施している。
それでも、12年の国語の平均点は都平均が69.5点だったのに対し、たぶんかの生徒は15.8点。逆に英語は都平均が58.1点に対し、たぶんか生は76.9点だった。国語の試験では選択肢問題ぐらいしか得点が見込めず、例えばすべての選択肢で「ア」と選ぶなど、得点が出るよう指導する人もいる。
2月、川崎市のコミュニティー施設「ふれあい館」に足を運んだ。社会福祉法人の青丘社が運営する日本語学級を見学するためだ。同法人では来日して3年以内の小・中学生を対象に、初期の日本語指導と教科学習の指導を行っている。
受験シーズンとあって、中学生のクラスでは面接の練習が行われていた。フィリピン人の女子生徒は、面接官に夢を語った。