急な対応で学校もバタバタ。大阪市西区の小学校の職員室では、教員が児童たちに配布するプリントの印刷作業に追われていた=2月28日午前10時ごろ (c)朝日新聞社
急な対応で学校もバタバタ。大阪市西区の小学校の職員室では、教員が児童たちに配布するプリントの印刷作業に追われていた=2月28日午前10時ごろ (c)朝日新聞社
親には3月2日からの休校連絡がメールなどで届いた。これからどうするか、親たちは頭を悩ませる(撮影/写真部・張溢文)
親には3月2日からの休校連絡がメールなどで届いた。これからどうするか、親たちは頭を悩ませる(撮影/写真部・張溢文)

 首相が突如打ち出した要請に、親たちが混乱している。子どもは感染から守りたい。だが1カ月もの間、 子どもたちを誰がケアするのか。AERA2020年3月9日号は親たちの悲鳴を聞いた。

【写真】保護者に届いた”休校メール”はこちら

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「必要に応じて臨時休校」という2日前の方針から一転。2月27日夜、安倍晋三首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国すべての小中高校と特別支援学校に対し、3月2日から春休みまでの臨時休校を要請すると表明した。

「電車通学なのでずっと心配でした。個別の学校判断ではなく、対応を統一してほしいと思っていました」(都内在住、小3の母親)

「夫が抗がん剤治療中で免疫機能が低下しているので、ここ最近ずっと神経質になっていた。休校が決まってほっとしました」(横浜市在住、小5の母親)

 こう歓迎する親がいる一方、小1の息子を持つ都内在住の会社員の女性(44)は「あまりに急すぎ」と困惑する。政府は「学童保育は開く」としているが、通っている学童の対応は実際どうなるのか。もしも在宅勤務になった場合、子どもを見ながらでは仕事のパフォーマンスは落ちる。となれば評価も下がるかも。3月末までに使える今年度分の有休はあと4日しか残っていない……。押し寄せる不安で、気持ちは乱れる一方だ。

 長くても1週間というインフルエンザによる学級閉鎖と違い、今回はそのまま突入する春休みも含めれば1カ月余りの長期戦だ。

 行き場をなくした子どもたちを一体、誰がケアするのか。特に、共働きで頼れる祖父母などが近くにいない家庭からは悲鳴が上がる。

 この女性は憤る。

「勤務先は1千人規模の会社ですが、在宅勤務申請をしているのは自分を含めて2人だけ。この緊急事態にわずか1日で対応しろというのはひどすぎる」

 1人親家庭の場合、悩みはより深刻だ。都内に住む小2の女の子の母親(42)はフルタイム勤務のシングルマザー。転職したばかりで給料は歩合制だ。子どもをみるために営業に出向く時間が減れば収入減に直結する。

「困惑の一言。とても不安です」

 子どものメンタルへの影響を心配する声もある。静岡県在住の女性(43)は言う。

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