2歳の長女と7カ月の長男を育てる函館市在住の女性は、2月19日に自身が結膜炎を発症。そこから数日、揺れる気持ちをツイッターに投稿した。喉の痛み、咳、鼻水、吐き気に発熱と症状は悪化。やがて長男に続き、長女も発熱した。折しも流れてきたのは「函館市内で新型コロナウイルスによる死者」のニュース。

「函館に住んでる身としては本当に怖いし、実際どうしたらいいかわからない。ずっと家にいるけど子ども達が他の病気(インフルとか)だったら病院連れて行きたいし…もしコロナ感染してたら外には出れないし…コロナ?ただの風邪?」

 結局、熱が続く子どもたちの様子にたまりかねて保健所に連絡。女性はこう書き込んだ。

「今までどうすればいいかわからなくて不安だったが相談したら気持ちが落ち着いた。私みたいにどうすればいいかわからないお母さんたくさんいると思う」

 川崎市内の小学校と幼稚園に姉妹を通わせている母親(40)は、子どもの症状についての情報不足が、親たちを必要以上に過敏にさせていると訴える。

北海道で感染した小学生についても、症状や経過に関する情報が少なすぎる。子どもたちはマスクも嫌がってすぐにとってしまう。手洗いやうがいも大人ほど徹底しきれないので、周りの子のちょっとした咳にもヒヤッとする」

 都内在住で第3子を妊娠中という30代の女性は、次男が通う幼稚園で同じクラスの子どもが熱性痙攣(けいれん)を起こし救急車で運ばれた、と聞いて焦った。

「診断結果はインフルエンザB型だったそうですが、それを聞くまでは気が気じゃありませんでした。インフルも大変ですからこう言うのもなんですが、インフルでホッとしました」

 風邪や花粉症と症状の見分けがつかないことも厄介だ。静岡県の女性(40)はこうこぼす。

「うちの6歳の子は花粉症で鼻水や咳が出ます。もしかしてコロナ?と不安になりますが、よく考えれば毎年この時期はせき込んでいる。でもいまは周りのママたちもピリピリしているし、登園の判断に迷います」

 不安やモヤモヤを抱えながら、2日からは休校期間がスタートした。混乱の中、親も学校も職場も知恵を絞り、協力していく以外に道はない。(編集部・石臥薫子、フリーランス記者・宮本さおり、大楽眞衣子)

AERA 2020年3月9日号