新型コロナウイルスに所属医師が感染したことが報じられ、2月13日、和歌山県湯浅町の済生会有田病院には多くのメディアが集まった (c)朝日新聞社
新型コロナウイルスに所属医師が感染したことが報じられ、2月13日、和歌山県湯浅町の済生会有田病院には多くのメディアが集まった (c)朝日新聞社
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 新型コロナウイルス「COVID‐19」が猛威をふるっている。今後、何が起こり、どう対応すればいいのか。AERA2020年2月24日号では、複数の専門家に聞いた。(※本記事は14日に取材し、その時点の情報に基づいて執筆しています)

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 新型コロナウイルスの感染力の強さや病原性はどれほどのものなのか。ここへきて、見解も割れている。

 ウイルスの終息を予測するのは、中国政府の専門家チームを率いる鍾南山氏だ。11日、中国国内における新型コロナウイルスの流行は2月半ばから下旬にピークを迎え、4月頃に終息すると予想した。背景に、湖北省をのぞく地域で感染者の増加ペースが鈍化していることがある。

一方で、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は、今後の流行の判断が難しいと記者会見で発言した。

 なぜ見立てが食い違うのか。東京医科大学の濱田篤郎教授(渡航医学)は言う。

「中国の新規患者が少なくなっていることは確認できます。ただ、今は判断できないというのが正しい答えでしょう。WHOにはある意味、中国からのそうした見方を牽制(けんせい)する意味があったのかもしれません」

 春節から続く休みが終わり、人の動きが再び活発になり始めたことから、濱田教授は「再燃」の可能性を指摘する。2002年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)のときは、春節後にピークが来て一度は落ち着いたが、その後2月末にもう一度増え始め、香港を経由して世界中で大流行した。今回も決して楽観できないという。

「これからが本格的に蔓延するタイミングです」

 そう警鐘を鳴らすのは、公衆衛生学を専門にする国際医療福祉大学の和田耕治教授だ。国内では14日までに、渡航歴がないとされ、感染経路が不明の感染者が出始めた可能性がある。和田教授はこのタイミングを「Xデー」と呼び、すでにその段階に入ったとも考えられる。

「ウイルスの感染は世界中に広がっていて、しばらく終息しそうにない。それを踏まえて、医療機関や自治体がシミュレーションしておくことが必要です」

すでに感染経路が不明の患者が報告されている可能性について、おなじく、厳しい見解を示すのはナビタスクリニック(東京・立川、新宿)の内科医・山本佳奈医師だ。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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