中高一貫の卒業生がある中等教育学校と併設型の公立校のうち、2019年に旧帝大である7国立大(東京大、京都大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大)の合格者が4人以上あった学校を掲載した(東京大、京都大以外は「他旧帝大」として集計。協力/大学通信)
中高一貫の卒業生がある中等教育学校と併設型の公立校のうち、2019年に旧帝大である7国立大(東京大、京都大、北海道大、東北大、名古屋大、大阪大、九州大)の合格者が4人以上あった学校を掲載した(東京大、京都大以外は「他旧帝大」として集計。協力/大学通信)
ベネッセ教育情報サイト調べ。表はベネッセ教育情報サイト編集部で作成(2018年7月時点)。「学校教育費」には修学旅行費や通学費などを含む
ベネッセ教育情報サイト調べ。表はベネッセ教育情報サイト編集部で作成(2018年7月時点)。「学校教育費」には修学旅行費や通学費などを含む
白鴎高校 附属中学校/中3で行われる、アメリカのスタンフォード大学研修。大学生に日本文化をプレゼンしたり、大学生と一緒に構内を散策したりした(写真/同校提供)
白鴎高校 附属中学校/中3で行われる、アメリカのスタンフォード大学研修。大学生に日本文化をプレゼンしたり、大学生と一緒に構内を散策したりした(写真/同校提供)

「6・3・3」が懐かしい──そんな時代がやってくるのか。中高一貫校ブームで一歩も二歩も先を行く私立を、攻める公立が追う。AERA 2020年1月27日号では、人気の中高一貫校を特集。なぜ、いま、公立中高一貫なのか。

【公立中高一貫校の合格実績の続き、「全国版69校」はこちら!】

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 日本初の公立中高一貫校、宮崎県立五ケ瀬中等教育学校が1999年に開設して、約20年が経つ。人間なら、いわば成人。この20年間で公立中高一貫校は127校に増えた(中等教育学校と併設校合計。連携校を除く。以下数値に連携校は含まない)。

 校数が増えても受験の倍率は高止まりし、5倍以上の学校がザラだ。特に都内では白鴎7.2倍、両国6.8倍、三鷹中等教育学校が6.7倍などと高い状態が続いている(すべて2019年)。

 なぜ「公立」なのか。人気の理由は、大きく「学費」と「合格実績」、そして「独自の教育方針」にある。

 まず、学費からみてみよう。

 一般に、私立の中高一貫校に進学すると、授業料や教材費のほか塾などの費用も加えれば、1年間におよそ130万円かかり、6年間で700万円を優に超える。一方、公立の中高一貫であれば1年間で60万円前後で、6年間でおよそ350万円。実に私立の半額もしくはそれ以下でおさまる計算だ。

 そして、合格実績。中高一貫といえば私立──長年、その印象が強かったが、公立は合格実績でも成長を続けている。

 本誌では全国の公立中高一貫校のうち旧7帝大(東京・京都・北海道・東北・名古屋・大阪・九州)などの合格者数の上位校をまとめた。旧帝大合格者数のトップは京都府の西京で68人。仙台二華、広島、諫早、宮崎西などは地元に近い難関大に強く、地方の一貫校が健闘しているのもわかる。東大に限れば、県立千葉が19人を出すなど、首都圏の一貫校が強みを見せつけた。

 東大の合格者を100人以上(19年)出す開成や麻布(ともに東京)などの私立の超名門中高一貫校にはかなわないが小石川中等教育学校は156人の卒業生のうち約1割にあたる16人が東大に合格するなど、上位校に匹敵する成果を上げている。

 独自の教育方針も見逃せない。各学校が「特色のある教育」を打ち出し、従来の教育にとらわれない学びを実践している点も評価されている。

 ポイントは、「グローバル」と「探究学習」だ。

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世界を意識した「STEAM教育」を採用