小林聡美(こばやし・さとみ)/1965年、東京都生まれ。俳優。主な出演作に映画「かもめ食堂」「めがね」、ドラマ「すいか」「山のトムさん」など。著書に『マダムだもの』『散歩』など(撮影/写真部・東川哲也)
小林聡美(こばやし・さとみ)/1965年、東京都生まれ。俳優。主な出演作に映画「かもめ食堂」「めがね」、ドラマ「すいか」「山のトムさん」など。著書に『マダムだもの』『散歩』など(撮影/写真部・東川哲也)
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 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者がイチオシの作品を挙げています。

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 小林聡美さんによる『聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)』は、50代という「人生初」のステージを迎え、「ひとりで暮らすこと」を意識しつつ、憧れの山歩きへの挑戦や、趣味の俳句を楽しむ。気負わず、健やかな暮らしを書き、くすっと笑えて背筋の伸びるエッセー集。著者の小林さんに、同著に込めた思いを聞いた。

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 小林聡美さんの姿を見ると、映画でもドラマでもホッとする。自然な佇まいで物語の中にいる俳優としての小林さんの姿勢は、エッセーのトーンに通じるものがある。

『聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)』は小林さんの最新エッセー集。2014年から約5年間続いた連載をまとめた待望の一冊だ。帯には「今、やりたいことは、やっておかなくては。」という言葉。

「49歳のときに連載が始まって、50代になってみると、体力も気力も違ってきたなと気づくわけです。そんな変化を受け入れつつ、若い頃とは違う意味で、『やりたいことはやっておこう』と思うようになりました」

 本に収められた30編のエッセーの中で、確かに小林さんのフットワークは軽やかだ。若い友人たちとジブリ美術館を訪ね、天気が良いからと落語「大山詣り」の舞台に出かける。大山では人が多すぎて、タッチ・アンド・ゴーで戻ってくるのだが「気分転換にはなった」と、さらり。屋久島ツアーに一人で参加し、春スキーを楽しむ。

「普段は本当に地味な生活を送っているんですよ。エッセーの題材は日常のささいなことばかりなので、飾ったり、思ってもいないことを書かないようにしています。読み返して、自分で気持ちが悪くなるような、大げさな表現も使うまいと」

 憧れの「田舎暮らし」や「車内での化粧」について考察をし、長年、一緒に暮らした愛の看病を綴る。人によっては、盛り上げた文章を書けそうなときでも、小林さんの筆致は落ち着いていて、そこはかとないユーモアがある。達意の文章なのだ。

「健気に慎ましく、真面目に生きている人が好きなんです」

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