「他人の得が許せない」に巻き起こる議論 現代人の「ねたみ」の心理とは? (1/4) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「他人の得が許せない」に巻き起こる議論 現代人の「ねたみ」の心理とは?

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小田健司AERA
AERA 2019年12月16日号より

AERA 2019年12月16日号より

 AERA 2019年10月14日号に掲載された他人の得が許せないに多くの反響が寄せられた。第二弾となるAERA 2019年12月16日号では「他人の得が許せない」様々なケースを紹介し、心理・精神学の専門家らがそれぞれの視点から解説する。

【第1弾】「他人の得が許せない」人々が増加中 心に潜む「苦しみ」を読み解く

*  *  *
 10月12日夜。台風19号が関東地方に接近し、神奈川県川崎市の武蔵小杉駅の周辺でも住民が警戒を強めていた。徐々に勢いを増す暴風雨。駅の南側の地域ではあっという間に一帯が冠水し、夜が明けると被害が徐々に明らかになってきた。この台風の被害の「主役」の一つとしてメディアが注目したのは、タワーマンションだった。

 47階建て、643戸のタワマンは、地下3階の電気系統の設備が浸水し、全戸が断水に見舞われた。エレベーターは止まり、多くの住民が生活は不可能と判断し、ホテルへの宿泊を余儀なくされた。

 SNSが敏感に反応した。

「武蔵小杉のタワマン居住者が困ってるの、まじで快感」
「武蔵小杉に住む人は下請けをいじめて出世するような人が多そう(偏見)だし、タワマン買えるほど稼げるのに土地の下調べもできない人だからざまあという感想しかない」

 経済的に余裕がありそうに見える居住者たちが、ねたみの対象になったのだ。それにしても、自然災害で被害を受けている真っ最中にこうした言葉が出てくるのは、なぜだろうか。

 立正大学心理学部の高橋尚也准教授(39)はこう解説する。

「SNSという環境で直接接していないことから、被災者との距離が遠くなり攻撃しやすくなっているのではないでしょうか。その半面、SNS空間ではいろいろな人がつながっているように感じ、気になる他者の範囲が広がるのも特徴。自分に関係がないことでも気になったり、他者から反応を得ることを求めたりするようになるのでしょう」

 他人の得が許せない──。アエラでは10月14日号で、人間のこんな感情をテーマにした記事を掲載し、ネットやSNSを中心に大きな反響があった。自分が損するわけではないのに、他人が得をしていることが許せないという感情だ。武蔵小杉のタワマンの事例は、「他人の得」と併せて考えるべき「他人の不幸は蜜の味」という心理だろうか。


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