主役はロスジェネど真ん中のフリーライター 小説『ロス男』で作者自身もモデルに (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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主役はロスジェネど真ん中のフリーライター 小説『ロス男』で作者自身もモデルに

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平岡陽明(ひらおか・ようめい)/1977年生まれ。出版社勤務の後、2013年に『松田さんの181日』でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。著作に『ライオンズ、1958。』『イシマル書房編集部』がある(撮影/篠塚ようこ)

平岡陽明(ひらおか・ようめい)/1977年生まれ。出版社勤務の後、2013年に『松田さんの181日』でオール讀物新人賞を受賞し、デビュー。著作に『ライオンズ、1958。』『イシマル書房編集部』がある(撮影/篠塚ようこ)

 なぜ、ロス「男」なのか。

「もちろん、ロスジェネには女性もいます。でも女性は、男が構築した世界で生きていくこと自体、最初から苦難を強いられているじゃないですか。ロストって、言ってみれば、“メスとカネと権力”ですよ。それにありつけなかった。だからロス男なんです」

 後悔に近いが後悔そのものではない、ある種の痛み。ロスジェネは、そんな繊細な痛みを言葉にする作家をひとり、生み出したことは間違いない。(ライター・北條一浩)

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AERAで連載中の「書店員さんオススメの一冊」では、売り場を預かる各書店の担当者イチオシの作品を紹介します。

■Pebbles Books久禮亮太さんのオススメの一冊
『時をかける台湾Y字路記憶のワンダーランドへようこそ』は、トリヒビア的可笑しみと知的興奮を味わえる1冊。Pebbles Books久禮亮太さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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「ブラタモリ」に代表される、身近な街の知られざる歴史や人々の暮らしの痕跡を辿る<まち歩き>は、娯楽としての観光であるだけでなく、切実な「自分探し」の巡礼なのかもしれない。地理学者イーフー・トゥアンは「トポフィリア(場所への愛)」と名付けた概念で、都市空間と人間の意識が身体的経験を通して深くつながるさまを哲学にしてみせた。

 本書は台湾各地に残るおよそ50の「Y字路」を訪ね歩き、個性的な形状の魅力とそれぞれの場所にまつわる歴史物語を語る。「Y字路」という切り口から地形と暮らしの関係や都市計画の変遷など、場所とそこに生きた人々の織りなす物語が「ミルクレープ」のように層を成して現れると著者は語る。トリビア的可笑しみと、日台近代史の裏道に迷い込むような時間旅行の知的興奮の両方を味わえる一冊。

AERA 2019年12月9日号


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