ピアノを弾いている時、「いい表情をしているね」とよく言っていただきます。乃木坂46に入るまでは、厳しい教室に入っていたので、義務感で必死にやっていたんです。入ってからは、他の楽器とのアンサンブルや伴奏をするようになって、「音楽って楽しいな」と思う比率がどんどんあがっていきました。仕事が忙しいとピアノから離れてしまう時期もあるんですが、ここ最近は時間があればピアノに触りたくなったり、悩んだり落ち込んだりすると、楽譜がなくても触ってみたりするようになって。やはりピアノと自分は切り離せないし、自分の心とも通じていると思います。

──生田さんがミュージカル、高山一実さんが小説執筆など、乃木坂にはアイドル以外の活動に取り組むメンバーもいます。

 乃木坂46にはモデルをやっているメンバーも多く、そういうメンバーはスタイルがよく、おしゃれのセンスもいい。後輩に道を示しているという意識はないですが、センターじゃなくて、どこにいても「これが私です」と言えるものは自分にとって何だろうと考えながら、今に行きついてはいます。後輩たちも、人と比べるのではなく、自分の目指したいものを口に出し、行動も起こしながら進んでいけば、グループも進んでいくし、自分自身もしっかり立っていけると思います。

──乃木坂46は生田さんにとってどんな存在でしょうか。

 外の現場で落ち込んで帰ってきたりすると、すごく励ましてくれたり温かく迎え入れてくれたり。どんな状況でも自分を受け入れてくれる、安心できる場所です。それと同時に、「みんながこんなに頑張っているなら、自分も頑張らなきゃ」と刺激をもらう存在でもあります。グループ初期の頃は「お嬢様っぽい」と言われたりして、自分で振り返っても最初は硬かったなと思いますが、8年間くらいやる中でだんだん今のような性格になりました。人との関わり方が変わりましたし、単純に人が好きになりました。

──松尾スズキさん作・演出の「キレイ−神様と待ち合わせした女−」では主人公のケガレ役。意外なキャスティングでした。

 不安もあるのですが、橋本じゅんさんが「わからないならわからないだし、作り込みすぎずにそのまま行けば大丈夫」とおっしゃってくださって。確かに今一番必要なのは飾らずにそのまま飛び込むことだなと思っています。

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年12月2日号