強豪を次々と破る快進撃で日本を沸かせたラグビー日本代表。この活躍でラグビー自体の注目度も上がったが、今後の課題はその人気と強さを維持することにあるようだ。AERA 2019年11月4日号に掲載された記事を紹介する。
【来年は東京五輪で7人制ラグビーを応援!7人制の特徴とは?】
* * *
敗戦翌日の記者会見で、主将のリーチマイケル(31)は、
「日本代表はずっと強いまま継続することが大事。日本のファンにもう一度、感動を与えられるようにしたい」
と語ったが、継続のためにはどんなことが重要なのか。『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー 闘う狼たちの記録』の著者でラグビーライターの向風見也(むかい・ふみや)さんは言う。
「4年前、日本のラグビーはリセットボタンを押してしまった。その轍を踏まないようにしなければならないと思います」
日本ラグビー協会は24日に次期ヘッドコーチについての選考委員会を開き、ジェイミー・ジョセフ氏(49)に23年までの契約延長を要請することを決めたが、向さんはアタックコーチのトニー・ブラウン氏(44)や、スクラムコーチの長谷川慎氏(47)らコーチ陣の継続も鍵を握ると指摘する。
「もし別の方にバトンタッチするのだとしても、少なくとも来年、再来年いて引き継いでいくことが大事です」
16年から南半球最高峰リーグ・スーパーラグビーに参戦し、今大会の日本代表の多くが所属してきた日本チーム「サンウルブズ」が財政的な理由などで20年シーズン限りでの撤退が決まっている。
「スーパーラグビーへの参戦は、選手個人が強い相手とぶつかって世界のラグビーを体で知ることができ、日本代表のプレースタイルをコーチと選手で共有し、試せる貴重な場でした。例えるなら難関校の模試を毎週受けられる環境だったということ。日本代表の強さを継続するには、21年以降、強い相手と試合する機会を担保することが重要になります」(向さん)
日本ラグビー協会の清宮克幸副会長が21年秋に発足を目指すと公表しているプロリーグ構想もある。W杯開催12都市を中心に本拠地を置き、海外のトップ選手を集めたハイレベルなリーグを目指しているというが、スーパーラグビーに代わって強度の高い試合ができる場になり得るのか、注視したい。