対照的な早慶の経営 資産運用に乗り出す早稲田 慶應は「社中協力」で寄附金集め

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2019/10/23 08:00

早稲田大学(撮影/加藤夏子)
早稲田大学(撮影/加藤夏子)
慶應義塾大学(撮影/写真部・小黒冴夏)
慶應義塾大学(撮影/写真部・小黒冴夏)

 18歳人口の減少などで大学の経営力に注目が集まっている。

 早稲田大学は2017年12月に「ワセダ・エンダウメント」を創設。エンダウメントとは、アメリカでいう大学基金のことだ。アメリカの大学は、豊富な基金の運用収入を教育研究に投資している。鈴木嘉久早稲田大学財務部資産運用担当部長はこう言う。

「早稲田はいま『世界で輝く早稲田』を掲げ、海外からも優秀な学生を集めるため、教育の質を国際的レベルまで引き上げることを目標としています。そのためにも授業料収入に頼らない財政基盤を確立する必要性があり、元本1億ドル(約108億円)でエンダウメントをスタートさせました」

 従来通りの運用の他に、このエンダウメントでアメリカの大学基金なみのミドルハイリスク/ミドルハイリターンの資金運用をする。主な投資対象は代替資産といわれるものが中心。非上場の会社に投資するプライベート・エクイティ(PE)などに投資していく。投資ファンドの選定についてはゲートキーパー(目利き役)に一任し、大学はそのモニタリングをする形だ。

「従来よりも少しリスクを高めた運用になるので、学納金や補助金は原資にせず、大学の自己資金と寄附金に原資を限定しています。また、ガバナンス体制を高度化することにも3年かけて取り組んできました」(鈴木部長)

 収益は奨学金や研究に当て、一部は基金の積み増しに当てると言う。

 一方、慶應義塾大学は、近年資産の内容を大きく入れ替え、リスクの高い運用はしない方針になった。自前の資産運用で安全安心な資産に投資する。また、慶應には福澤諭吉の時代より伝統的に寄附文化も浸透している。高橋郁夫慶應義塾常任理事(61)はこう語る。

「社中協力と言って、伝統的に塾員(卒業生)や教職員が塾生のために協力し、応援する精神的風土があります」

 2018年5月に慶應義塾大学病院1号館(新病院棟)が開院したが、その建設費用として107億3400万円もの募金が集まった。慶應の場合、大学が旗振り役をするというよりも、塾員が主体となって寄附集めをする。その寄附金は目的に応じて設備投資だけでなく基金として積み上げ、その運用収入を奨学金や研究支援等に充てている。現在慶應の基金は残高が約740億円あるが、その中の例えば福澤諭吉記念学事振興基金・小泉信三記念学事振興基金については新たな寄附金募集により18年度末までにさらに約3億円が集まり基金が拡充したという。

 寄附金だけではない。地域・社会に向けた「慶應義塾三田オープンカレッジ」の2019年春学期(5月~7月)の協賛講座として、1994年三田会による「社会の課題を解決する“持続可能な開発目標(SDGs)”を考える」が開講された。

「講座開設のための資金提供だけではなく、講師選定など講座内容の企画もしていただきました。物心両面で支えていただくのはありがたいことです」(高橋理事)

(文/編集部・小柳暁子)

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