――この活動は、山口さんにとって、ライフワークのようなものなのだろうか。

山口:「続ける」ことに意義があると思っています。ちょっとずつでも歩みを止めず、一生かけて継続していきたいです。地球の素晴らしさを再発見していく旅です。でも、すぐに答えを出せと迫る昨今の社会の風潮の中で、どんどん世界から個性的な美しい文化が消えていることも現実です。日本の職人さんのものづくりの世界も同じですが、今だけ見栄えがよいものばかりにかまけていては、よい材料を吟味して、しっかりと時間をかけて、末永くめでていけるものが形になりにくい。時間のかかるものは、本当によいものなのにどんどん消えていってしまう。だから、せめて「知る」ことから始めないと。感動に出合えたら声にして、「こんなにすてきだよ」と皆に伝える責任が私たちにはあると思います。何も知らないまま、気づいたらいつの間にか消えていたという事態は悲しすぎる。世界をもっと「知る」ことが、大切なものを守る一歩につながると思います。

――音楽文化の伝道師のような山口さんだが、プロデューサーとしての目標はあるのだろうか。

山口:いまだに何をする人がプロデューサーなのかよくわかっていませんが(笑)、「LISTEN.」は、未来へ届ける「タイムカプセル」というコンセプトで作ってきました。100年後、1千年後の未来に自慢したい、地球のかっこいい「いま」を収めた映像ライブラリーです。

 この地球の素晴らしさを地球人としてもっと自覚して、「地球ってこんなにすてき」というメッセージを、銀河系のかなたに向けて宇宙規模で発信し続けたいですね(笑)。

(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2019年9月30日号