東京スタジアムに到着後、向かいにある武蔵野の森総合スポーツプラザに向かう上原さん。50メートルのスロープには距離や5%の勾配が表記されていた(撮影/写真部・小黒冴夏)
東京スタジアムに到着後、向かいにある武蔵野の森総合スポーツプラザに向かう上原さん。50メートルのスロープには距離や5%の勾配が表記されていた(撮影/写真部・小黒冴夏)

 ラグビーワールドカップ開催で海外からの観光客の増加が見込まれている。2020年も見据え、受け入れ体制はどうか。AERA 2019年9月30日号では、東京のバリアフリーを徹底検証。羽田空港から東京スタジアムまでパラアイスホッケーの元選手と一緒に行ってみて見えてきたこととは……。

【写真特集】空港からスタジアムまでのバリアフリーを徹底調査

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 ラグビーワールドカップ(W杯)2019日本大会が開幕した。大会組織委員会によると、スタジアムでの観戦者は最大182万人で、チケットの95%は販売済み。訪日外国人は50万人を超えると予想される。来年には東京五輪・パラリンピックを控える中、東京は多くの観光客を受け入れる準備ができているのだろうか。空の玄関口・羽田空港からW杯と五輪の両会場となっている東京スタジアム(東京都調布市)まで、パラアイスホッケーの元選手で、パラリンピック銀メダリストの上原大祐さん(37)と行ってみたら、いつもと違う景色が見えてきた。

 待ち合わせ場所は羽田空港第1ビル1階の到着ロビー。上原さんは午前11時ぴったりに颯爽と現れた。挨拶を済ませて、さっそく出発。上原さんはこれまで何度か行ったことがあるというので、地理に不案内な観光客を想定するため、記者がルートを探して向かうことにした。

 スタジアムの最寄り、京王線の飛田給駅へは東京モノレールで浜松町駅へ出るか、京急線で品川駅に出て、JR山手線で新宿駅に行き、京王線に乗り換えるルートが一般的だ。今回は品川駅よりコンパクトな浜松町駅での乗り換えルートを選択した。

 まずはエレベーターで地下1階に降り、東京モノレール羽田空港第1ビル駅へ向かう。改札が北と南二つあるので、エレベーターがどちらにあるのか知りたくて、京急線やモノレール乗り場の正面にある羽田空港の案内所で尋ねてみた。すると、

「エレベーターの情報は聞いておりません。モノレールの改札で駅員さんに聞いてください」

 との答え。思わず目が点になった。後日調べると、私たちが利用した羽田空港第1ビル駅はエレベーターが南北どちらの改札にも設置されていたが、第2ビル駅は北口改札内にしかない。南口に進んだら、改札で引き返すことになる。駅のバリアフリー情報は、羽田空港利用客にとっても必要な情報なのに……。

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