とりあえず北口に進み、駅員にエレベーターの有無と車いすでの乗車について尋ねると、

「ホームの前と後ろの車両部分にはスロープがついているので、介助が必要ない方はそのままご乗車いただけます」

 とのこと。さらに、降車駅で係員に障害者手帳を提示すると、交通系ICカードを半額処理してくれることも教えてくれた。

 記者が駅員と話している最中、上原さんは自動券売機でICカードへのチャージに苦戦していた。タッチパネル式の液晶画面は斜めに設置され、光が反射して見づらいという。手をかざし、見る角度を変えるなどしてなんとかチャージ完了。鉄道各社はこうした傾斜型の券売機は現金投入口が低いことから、「バリアフリー設備」と紹介しているが、現実はそうでもないようだ。

 浜松町駅に到着した。降車ホームには二つエレベーターがあるが、南口側は「業務専用」の札がかかり、使用できない。唯一使用できるエレベーターは小さく、キャリーケースを持った外国人の行列ができている。並んでいると次のモノレールが到着した。健常者なら階段やエスカレーターを選べて自分のペースで移動できるが、車いすだと時間のロスが至るところにある。

 改札階に着き、エレベーターの扉が開くと、目の前は無人改札。ここを通らないとどこにも出られない。乗車の際に言われた「半額処理」もできず、改札の外に出た。階段やエスカレーター利用者がJRに乗り換える場合は専用改札を1度通ればいいが、エレベーター利用だと、1度外に出るのも不思議だ。

 そこで、有人改札に回り、駅員にJRに乗りたいと伝えると、改札扉を開けてJRの改札内へ入れてくれ、待つよう言われた。

 今度はスロープを手にしたJRの駅員が迎えにきた。エレベーターで一緒にホーム階へ。山手線が停車中だったが、1本見送る。車いすでなければ余裕を持って乗れるタイミングだったが、安全を考慮したようだ。

 駅員が設置してくれたスロープを使って山手線に乗車したが、ドア付近には車いすスペースがなく、上原さんは少し戸惑った様子。隣のドア付近に車いすスペースが見えたが、つり革を手に立っている人がいるため、車いすでは通れない。

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