もちろん、最初は苦労もありました。

 子どもに料理を教える時は、まず「塩とはなに?」「油とは?」「酸味とは?」というところから始めなくてはなりません。

「塩はしょっぱいから、料理に使うときはほんの少しでいいんだよ」

 と伝えても、はじめはこれでもかというくらい塩を放り込みます。ここで口も手も出したくなりますが、じっと我慢。

「ママ!私のドレッシングできた!」と娘が言ったところこで、初めて、「おっ!いいね。じゃあ味見してみようか」と提案します。

 味見した娘は、当然「しょっぱい!」と、目を丸くしています。

「しょっぱくなっちゃったね。なんでだろう?」と聞くと、「塩たくさんだから……」。

 塩は少しの量で大丈夫だということを、こうして学んでいくのです。

 こうした失敗を経て、今では娘はすっかりドレッシング作りをマスターし、ときには私も驚くような美味しいドレッシングを作ってくれるようになりました。

 オリーブオイルとレモン汁にヨーグルトと粉チーズを入れたドレッシングは、シーザードレッシングのような味でグリーンサラダにピッタリでした。また、ごま油とリンゴ酢にりんごジュースとマヨネーズを入れた甘い中華風味のドレッシングも作り出してくれました。

 料理の正解は1つではありません。それを学ぶのに、ドレッシング作りはピッタリです。

「油2、酸味1、塩を少々」

 の基本を伝えたら、「ああして、こうして」と親が細かく指示するのではなく、子どもの自由にさせてあげてはいかがでしょう? 

 しょう油やジュース、ヨーグルトなど、ドレッシングに使えそうな食材をテーブルにならべて、「この中から自由に組み合わせてみてね」と言ってもよいかもしれません。

 最初は失敗するかもしれませんが、それが子どもの「自ら考える力」を養ってくれるはずです。

■親子レシピ3 基本のドレッシング

材料
油(オリーブオイル、ごま油、米油など、お好みで) 大さじ1
酸味(レモンや酢など) 小さじ1
塩 少々

 上記の材料に、マヨネーズ、粉チーズ、ジュース、海苔など、子どものお好みの素材や調味料を加えていきましょう

作り方
1.(子)塩と酸味をしっかり混ぜあわせ、塩を溶かす
2.(子)お好みの材料を混ぜ合わせる
3. (子)油を入れてさらに混ぜる

(文/武田昌美)

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武田昌美

武田昌美

武田昌美(たけだ・まさみ)/リトルシェフクッキング株式会社代表取締役、子ども料理研究家。料理を通じて子どもの才能を開花させ、挑戦する勇気・失敗への前向きな姿勢を養うことを目的とする料理教室「リトルシェフクッキング」を経営。2歳から19歳まで、のべ2000人以上の子どもに料理の楽しさを教えている。https://little-chef-cooking.com

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