系列の小中高は早稲田が8校、慶應が9校。ただ早稲田はこのうち4校が2000年以降の設立だ。早稲田が21世紀に入って系列校を強化していることがわかる。医学部を持たない早稲田にとって学生からの学納金が収益の柱。少子化が進む中、系列校から学生を集め、安定的な収入を確保する戦略とみられる。

 早慶の経営方針をはっきりと分ける医学部の有無。なぜ慶應が医学部を持ち、早稲田が持たないのか。

 学生数の差が影響しているとみられるのがスポーツだ。野球とラグビーの「早慶戦」では、早稲田が圧倒している。スポーツ推薦などで全国から優秀な選手を集めていることも影響しているようだ。とはいえ、両校ともに多数の五輪メダリストやプロスポーツ選手が輩出してきた名門中の名門。

 スポーツでは後塵を拝した慶應だが、司法試験と公認会計士の合格者数では優勢だ。「分母」となる学生数で約4割の差があることを考えると、驚きの結果とも言える。慶應OBの公認会計士(46)は言う。

「昔から慶應では会計士の合格者数が多いため、会計士を目指して慶應に入学する人が多い。入学後の環境で目指すようになる人もいます」

 就職先では、理工系に強い早稲田は富士通、NTTデータなどIT関連が上位に。一方、慶應は保険、銀行など金融系が目立つ。また、企業の社長を務める卒業生はほぼ互角だが、卒業生数の差を考えれば慶應出身者のほうが社長になる確率が高い計算だ。「鉄の結束」とも言われる慶應出身者。その「人脈力」の強さを示すデータと言えそうだ。(編集部・小田健司、上栗崇)

AERA 2019年9月16日号