AERA 2019年9月16日号より(赤:早稲田、青:慶応)
AERA 2019年9月16日号より(赤:早稲田、青:慶応)

 永遠のライバルと言われる早稲田大学と慶應義塾大学。優れた大学はどちらなのか。雌雄を決するときがついに来た。AERA 2019年9月16日号で、早慶の真の実力を徹底分析した。

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 2024年の紙幣切り替えで1万円札の顔になる渋沢栄一が、こんな証言を残している。

「福沢諭吉氏は強かつた、一度大隈さんの処で私とやつて私が勝つたら『渋沢君は変な人だ、将棋なんか強いとは思はなかつた、何処かで稽古でもしたのか、自分は強い積りで居たのだが…』など言つたヨ」(『渋沢栄一伝記資料第二十九巻』)

 早稲田大学の創始者・大隈重信の家で、慶應義塾大学の創始者・福沢諭吉と渋沢が将棋を指し、福沢が負けた──。偉人たちの交流を物語るエピソードを、歴史通はこう見る。

「これはちょっとした早慶戦ですね」

 どういうことか。渋沢史料館(東京都)の井上潤館長(59)に聞いた。

「渋沢は、大隈重信と早稲田に非常に近い人物なのです」

 明治政府の要職にあった大隈と欧州帰りの渋沢は交流が深く、渋沢は早稲田大開設の際に寄付金を集める委員となり、自らも3千円を寄付した。ある意味早稲田の関係者でもある。

 福沢から渋沢へ、という「1万円札の顔」の交代に早稲田出身の地方紙記者(43)は「一矢報いた感がありますよね」と喜ぶ。一方、慶應出身の男性会社員(44)も「千円札に使われる北里柴三郎は慶應医学部の初代医学部長。慶應の系譜は守られました」と胸を張る。

 早稲田対慶應。お札の人物をめぐっても火花を散らすこの戦いは、多くのメディアで繰り返し取り上げられてきた。今回アエラが目指すのは、その集大成とも言える「最終決戦」。様々な角度から、両校の実力を解き明かしてみたい。

 まずは教育環境から。学生数は早稲田が約4割多い。データを比較する上でこの規模感を念頭に置く必要がある。初年度の授業料は慶應がやや高い。最高額の383万円は医学部だが、6年間でかかる費用は「私学では最も安い部類」(大学病院総務課)という。学生交換協定のある海外の学校や機関数は早稲田に軍配が上がり492。受入留学生数でも早稲田が慶應の3倍超だ。

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