KIMONO「文化の盗用」理解できない日本人 背景にある“名誉白人感”とは? (5/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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KIMONO「文化の盗用」理解できない日本人 背景にある“名誉白人感”とは?

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白山羊AERA
米音楽賞「American Music Awards」に着物風の衣装で和傘を手に登場したケイティ・ペリーは文化の盗用と批判を受けた(写真:gettyimages)

米音楽賞「American Music Awards」に着物風の衣装で和傘を手に登場したケイティ・ペリーは文化の盗用と批判を受けた(写真:gettyimages)

大晦日の番組に黒塗り姿で出演したダウンタウンの浜田雅功。「黒人をかっこいいと思っているのに」と擁護する声も多かった/テレビ画面を撮影(撮影/編集部・上栗崇)

大晦日の番組に黒塗り姿で出演したダウンタウンの浜田雅功。「黒人をかっこいいと思っているのに」と擁護する声も多かった/テレビ画面を撮影(撮影/編集部・上栗崇)

 そもそも、今回問題になった着物も、元々は中国・唐が起源と考えられており、それが日本で独自に進化したもの。「日本がきわめてユニークな文化をもっているのは、多種多様な要素を融合同化させた結果である」。こう書いたのは日本研究で知られ、上智大学教授だった故トーマス・インモースだ。

 もう一つの原因は、通奏低音として流れる「名誉白人感」ではないか。それは現代日本社会において、白人コンプレックスの裏返しとして存在する。

 明治政府が目指した「脱亜入欧」。そして戦後、いったんは世界2位の経済大国に上り詰めた日本。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と褒めそやされた。「有色人種だが先進国」「アジアの白人」と既存の支配構造にうまく乗っかっているつもりの日本人は、だが、強烈な白人への憧れを持っている。だから、白人が日本文化を「盗用」すると、まるで承認欲求が満たされたかのように喜ぶ。

 映画「攻殻機動隊」の主人公を白人俳優のスカーレット・ヨハンソンが演じると、アメリカでは“なぜアジア系俳優を起用しないのか”と批判が集まるが、日本では“白人美女に演じてもらえて嬉しい”に変換される。日本は「白人国」であるのだから、差別されるはずはない、と思い込む。

 東京出身の筆者も米大学院で、自らの無自覚な白人賛美を恥じる経験をした。スペイン人を母に持つ俳優城田優が織田信長を演じた時代劇について、黒人の友人が「白人が武士を演じるべきでない」と憤る理由がわからなかった。イケメンで何が問題かと。

 名誉白人感は、差別への鈍感さにつながる。日清食品ホールディングスは今年1月、テニスの大坂なおみ選手の肌を白く描いたアニメ広告を制作。米英メディアが一斉に批判し、削除した。

 17年の大晦日のテレビ番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」で、浜田雅功が顔を黒塗りして登場。海外から批判が集まっても、「黒人に対するリスペクト」「黒人を馬鹿にしてるわけじゃない」と擁護する声も多かった。名誉白人の日本人は、差別構造と闘うでもなく、むしろそれを強化する無邪気な共犯者。差別の意図がなければいいと言い逃れる。

「全く善かれと思ってやった」

 補正下着をキモノと呼んだキム・カーダシアンは6日後、こう釈明した。約200万着に印字した「キモノ」ロゴを変え、改めて名前を発表するという。(文中一部敬称略)(ライター・白山羊)

AERA 2019年8月12・19日合併増大号


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