【日本商業開発】杉崎夏生さん(25)/早稲田大学社会科学部卒。大学時代はオートバイサークルに所属。2018年に入社し、土地のソーシングとテナントリーシング業務に携わる(撮影/写真部・掛祥葉子)
【日本商業開発】杉崎夏生さん(25)/早稲田大学社会科学部卒。大学時代はオートバイサークルに所属。2018年に入社し、土地のソーシングとテナントリーシング業務に携わる(撮影/写真部・掛祥葉子)
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初年度で「高年収」をかかげる主な企業(AERA 2019年8月5日号より)
初年度で「高年収」をかかげる主な企業(AERA 2019年8月5日号より)

 新卒でも能力次第で「年収1千万円」など高年収を提示する企業が現れている。新卒に高額の報酬を提示する背景には何があるのか、そして採用する学生の条件とは。

【初年度から1千万円!? 新卒「高年収」をかかげる主な企業一覧はこちら】

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 新卒一律初任給のシステムを維持しながら高年収を提示し、優秀な学生の採用を目指す企業もある。土地を購入し、事業用地としてテナントに貸し出すビジネスを展開する日本商業開発は、「日本一初任給が高い企業」と言われる。初任給50万円で、月10万円の住宅手当(4年目まで定額支給)を含めれば初年度年収は720万円。さらに、5年目までは年100万円の昇給を約束。4年で年収1千万円を超える計算だ。社員の平均年収自体も1501万円と高給だが、新卒の学生にこれだけの給与を提示するのはなぜなのか。松岡哲也社長は言う。

「14年に新卒採用を始める際、知名度不足をカバーするインパクトのある採用をしたいと、この金額を打ち出しました。安い給与ではいい人材が採れないのは当たり前。好条件を提示して丁寧な採用をすれば、必要な人材は必ず採れます」

 採用したいのはズバリ、将来利益を上げる学生だ。

「プログラミングのような特殊な技術を求める会社ではありません。立ち居振る舞いに品があって、ユーモアがあって、基礎学力が高く、文章が書ける学生を採用します。特殊な何かではなく、トータルの力を見ていますね」(松岡社長)

 昇給を約束する5年目までは育成期間。5年後には営業の最前線で利益を上げてほしいという。その後は実力主義だ。

「下がることは滅多にありませんが、あくまで成果に応じた給与を支払います」(同)

 早稲田大学社会科学部出身の杉崎夏生さん(25)は18年4月、新卒で同社に入社した。当初は興味本位での応募だった。

「新卒初任給が日本一高いのはどこだろうとインターネット検索して見つけ、応募しました」

 内定にいたったのは、常に考えながら行動していたからではないかと自己分析する。ほかに建設と印刷の大手企業から内定を得たが、選んだのは日本商業開発だった。

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