ブレイディ:イギリスでも絶対やらないですね。かつてはPILもそうですけど、観たいからパッとロンドンに行くとか。1980年代くらいまでは、もっとエネルギッシュでしたよね。

ヤマザキ:マンガの世界でも私たちが10代の頃に活躍していた作家さんたちの作品は、萩尾望都(もと)さん然り、竹宮惠子さん然り、外国が舞台で登場人物は外国人です。児童文学も全部舞台は外国でした。よくみんなに聞かれるのが「ヤマザキさん、どうしてそんな早いうちから外国へ行かれたんですか」。確かに私の祖父はアメリカに住んでいましたが、そんなの関係ない。ずっと子どもの頃から外国の音楽を聴いて、文学を読んで、外国人が出てくるマンガを読んでいて外国が身近だったんですよ。ロンドンが扉の向こう側にあるみたいな。

ブレイディ:なんだか今は遮断されているんですよね。

(編集部・三島恵美子)

AERA 2019年7月15日号より抜粋

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三島恵美子

三島恵美子

ニュース週刊誌「AERA」編集部で編集や記事執筆、書評欄などを担当。書籍の編集も多数経験。

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