また、メルペイはメルカリのユーザーによる利用を着実に見込めるし、メルカリでの売買と実際の店舗での購買行動を分析することで、より高度なマーケティングを展開できそうだ。

 これらの陣営とは対照的に、本業との相乗効果が不透明に見えるのが、銀行系の決済サービスだ。単に、これまで系列のカード会社を通じて押さえていた決済の領域を、新興勢力に侵食されたくないために参入しているのでは──。そんな推測も聞かれる。

 LINE Payが3年間の決済手数料無料を打ち出しているなど、まだしばらくは各社の我慢比べが続きそうだが、三上さんは2020年の後半ごろから変化が生じると予想している。

「ただし、いきなり撤退や統合などといった展開にはならないはず。すでにLINE Payとメルペイ、au PAYと楽天ペイが提携しているように、まずは各陣営のグループ化が進み、その動きが再編へと結びついていくでしょう」

(ライター・大西洋平)

AERA 2019年6月17日号

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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