さまざまな意味で過渡期である今に不安を感じるか、ワクワクするか。本書はその手引きになるに違いない。

「自分の生きる指針を決めて、相対的にその時々で変わった時代にそれを当てはめて考えられる人が楽しく生きられるんだと思います。柔軟性を持った方がいいと思いますね」

(ライター・濱野奈美子)

■書店員さんオススメの一冊

小説『三つ編み』は、「理不尽な人生」と闘う3人の女性の物語だ。HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEの新井見枝香さんは、同著の魅力を次のように寄せる。

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 シングルマザーのサラは、カナダの権威ある法律事務所で女性初の地位にのぼりつめた優秀な弁護士だ。多くの犠牲を払って手にしたやりがいのある仕事は、絶対に手放したくない。しかしそんなサラを、女性ならではの病魔が襲う。女性であるがゆえに、なぜこうも苦しみ、奪われなければならないのか。サラの絶望は計り知れない。

 インドで低い身分に生まれたスミタは、人としての尊厳をふみにじられている。娘を同じ目に遭わせたくないと、命懸けの行動に出る。イタリアに暮らすジュリアは、父親が事故に遭い、倒産寸前の会社をひとりで背負う。遠く離れた地で、それぞれの運命と闘う3人の女性の人生が、順々に編まれていく。そうして完成された物語は、日本に暮らす私たちに何を伝えたかったのか。私たちが絶対に負けてはいけない相手は、何なのか。

AERA 2019年6月3日号