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年金「繰り上げ」「繰り下げ」どちらがお得? 損益分岐点を解説

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西田正人AERA#シニア
年金制度改革の足音が迫る。健康寿命が延び、70歳を過ぎても元気に働く人たちの扱いが焦点の一つだ(撮影/高井正彦)

年金制度改革の足音が迫る。健康寿命が延び、70歳を過ぎても元気に働く人たちの扱いが焦点の一つだ(撮影/高井正彦)

「繰り上げ」「繰り下げ」どちらがおトク?(AERA 2019年6月3日号より)

「繰り上げ」「繰り下げ」どちらがおトク?(AERA 2019年6月3日号より)

70歳以降は保険料負担なし、年金額にも反映されない!(AERA 2019年6月3日号より)

70歳以降は保険料負担なし、年金額にも反映されない!(AERA 2019年6月3日号より)

菱田雅生(ひしだ・まさお)/大学卒業後、山一證券を経て独立。資産運用や住宅ローン、確定拠出年金などをテーマに講演や執筆を行っている(写真:本人提供)

菱田雅生(ひしだ・まさお)/大学卒業後、山一證券を経て独立。資産運用や住宅ローン、確定拠出年金などをテーマに講演や執筆を行っている(写真:本人提供)

 年金を早く受け取りたい人は減額される。たくさん受け取りたい人は開始が遅くなる。65歳から受け取る場合と比較して、どっちが「おトク」になるのかの試算を示したのが、チャートだ。

 繰り上げた場合、1カ月あたりの受給額が少ない状態が続くので、トータルの年金額では長く生きると「損」になる。

「繰り上げ受給の損益分岐点は、60歳から受け取り始めた場合で76歳8カ月、64歳からで80歳8カ月です。それよりも早く死ぬなら、繰り上げた方がトクになります」

 逆に、繰り下げた場合は、早く死んでしまうと増額された年金を受け取る期間が短くなる。

「70歳から受け取り始める場合、81歳10カ月が損益分岐点になりますので、それ以上生きるならトクになります。仮に75歳まで繰り下げできるようになった場合、現行の計算式に当てはめると86歳10カ月が損益分岐点になりそうです」

 簡単に言えば、早く死ぬなら繰り上げたほうがトク、長生きするなら繰り下げたほうがトクということ。ならば気になるのは、何歳まで生きられるかだ。

 ここで重要なのは人口全体の平均値である「寿命」ではなく、ある年齢まで生きた人が、平均してあとどれだけ生きられるかを示す「余命」だ。

 2017年の簡易生命表(厚生労働省)によれば、65歳男性の平均余命は19.57年、65歳女性の平均余命は24.43年。つまり、65歳まで生きた人は、平均すると男性で85歳近く、女性で90歳近くまで生きるということだ。しかも、平均余命は右肩上がりの傾向にある。

「今後も平均余命が延びるとするなら、受け取りを繰り下げたほうが有利になる可能性が高まります」

 統計的には、働いて一定以上の収入が得られるなら、年金の受け取りは急がず少し待ったほうがトクと言えそうだ。(マネーライター・西田正人)

AERA 2019年6月3日号より抜粋


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