映画の応援上映に10回以上行っているという20代の女性は、クイーンの来日公演を観たことがある50代の母親と一緒に参加。「屋外で観ると、本当にウェンブリーにいるみたい。ブルーレイも買いましたけど、大画面と大音響で観られるのはうれしい。またぜひやってほしい」と話してくれた。

■ブルーレイ・DVDは100万本規模の出荷

  映画が公開から5カ月経っても、興行収入を伸ばし続けているのは、かなりのレアケースだ。しかも、「ボヘミアン・ラプソディ」は劇場公開がいまだ続くなか、ブルーレイ・DVDは予約の時点で大ヒット。

「すでに100万本規模で出荷しています。プロモーションもTVCMや特典グッズだけでなく、飲食店やプロバスケットボールチームなどとのタイアップもあり、桁外れの規模です」と20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン宣伝担当。ブルーレイ・DVDの発売準備は映画の公開前から始めたが、「社会現象になるほどのヒットは予想できなかった」そうだ。そのため、プロモーションのプランを何度も練り直し、発売直前まで奔走したという。

「イベントやCMのプロモーションは、すべて“マイアミ”こと、ジム・ビーチさんをはじめ、クイーンサイドでチェックしています。それだけ、この映画を大切に思い、ファンにきちんとした形で届けたいと考えているのでしょう」(宣伝担当)

■ファン待望の日本公演シーンは…

 特別バージョンの「ボヘミアン・ラプソディ」はフェスの参加者だけの鑑賞になったが、この完全版は4Kとブルーレイ、iTunes Store購入版の特典映像に収録されている。ファンが期待していた日本公演のシーンが特典に入らなかったのは、「製作者の意向」とのことだ。

 ライヴ・エイド完全版の魅力は、劇場版より長いだけでなく、ロングショットも多いことだ。主演のラミ・マレックらが、どれほどクイーンの演奏に表情や体の動きを近づけようと努力したのかが、クリアーに分かる。

 観客の姿も劇場で観るより分かりやすく、人種と年齢の幅が広いことに気づく。実際のライヴ・エイドの映像では、映画ほど人種や年齢の幅は感じられない。映画は人生に苦難が待ち受けても、自分らしい生き方や人と心が通じ合うことの物語を描いていた。ブルーレイ・DVDを観ると、「ボヘミアン・ラプソディ」が伝えたいメッセージを改めてはっきりと感じるのではないだろうか。(文/角田奈穂子)

AERAオンライン限定