息子たちの話になると破顔一笑。取材モードからいきなりチャーミングな「素」に戻った。

 かつてはハリウッドのお騒がせスター。若手俳優としてイケメン番付の常連になり、数々の女優やモデルと浮名を流した。超大作映画に立て続けに出演したかと思えば、突然「未婚の父」になり、その次は地味渋のクライムムービーでゴールデングローブ賞を受賞したり……。

「いや、まさにあの頃はローラーコースターみたいだった」

 きつかったと認める。

「うん、でもそれが人生なんじゃない? 文字通り、上がったり下がったり。時には落ちるほうが自分を振り返って成長できるし、豊かな体験になる。生きるというのは山や谷間をぬって歩いていく旅のようなものだと思う。川の流れに身を任せるようなものっていうか」

 最近は「ファンタビ」シリーズなどメジャー作品への出演と同時に、いま映画界で最も注目される奇才ヨルゴス・ランティモス監督作品に2作続けて出演するなど、仕事ぶりは野心的だ。

「メジャーとインディー系の両方をやるのが楽しいんだ。小規模映画のほうが感情表現、心理表現でも役者としての腕が試される。僕自身の個性と世界が僕に求めるものの間でいいバランスを見つけたい。うん、役者をやってきて今が一番楽しいね」

 かつての悪ガキは充実期を迎えたようだ。(ライター・鈴木あずき)

AERA 2019年4月8日号