アイルランド出身だからか、発言にどこか詩的な香りがする。「そりゃあ、アイルランドで産湯を使ったら一生、アイリッシュだからね!」(撮影/伊ケ崎忍)
アイルランド出身だからか、発言にどこか詩的な香りがする。「そりゃあ、アイルランドで産湯を使ったら一生、アイリッシュだからね!」(撮影/伊ケ崎忍)

 ディズニー映画「ダンボ」にコリン・ファレルが出演する。監督は鬼才、ティム・バートン。コリンは、大きすぎる耳を持つ子象ダンボが所属するサーカス団の団員を演じる。

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「今回はファミリー映画だから演技を深刻にしすぎないようにとバートン監督に言われたんだよ。それと基本的にセンチメンタルな映画だから感情過多な演技もご法度、と俳優は全員、お達しを受けた」

 ティム・バートン監督といえば一貫して独特なダークファンタジーの世界観を追求し、「裏ディズニー」との異名もとる。その彼が本家本元のディズニーとタッグを組んだ実写版「ダンボ」は、圧倒的な映像美と音響美が一体となった見事な作品だ。しかもかわいすぎるダンボ! たしかにここに熱演が加わったらやりすぎだっただろう。

「ダンボ」はこの絶妙なバランスで、これまでの熱狂的なバートンファンを超えて幅広い観客にアピールするのでは? そう聞くと、サーカス団の一員を演じるコリン・ファレル(42)はうなずいてくれた。

「そうだね、映画のテーマがすごく普遍的だしね。見るからにハミダシ者で忌まわしい存在の子象がじつは魔法の力を持っていたという大きな物語があって、さらに家族再生の物語、時代から取り残されたサーカス団の生き残りをかけた戦いのストーリーもある。いろんな人が共感できる普遍的な物語が重なっているよね」

 ファレルが演じるホルトは戦争から帰郷すると妻は病死しており、残された2人の子どもたちとの関係もぎくしゃくしてしまう。それがダンボの存在で変わっていく。

「映画の中で、ダンボと子どもたちはあるがままに生き、言いたいことを言い、感じるままに感じて、最後までほとんど変わらない。変わっていくのはむしろ大人たち。子どもたちとダンボによって自分たちの価値観を揺さぶられるんだ」

 自身も15歳と9歳の息子を持つシングルファーザー。子どもからは学ぶことばかりという。

「もう、毎日がハードな特訓だよ(笑)。2人が学校から帰ってくると、今度は僕が授業を受けてるみたいな感じ」

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