「新しい時代の始まりと、結婚というお二人の人生の門出を一緒にお祝いしていただきたいという思いを込めました」(同ホテル)

 改元を機に「改名」するのは、お笑い芸人のプリマ旦那だ。本格的なしゃべくり漫才で関西を中心に人気のコンビだが、デビュー以来11年間使ってきたコンビ名を、新元号を使った名前に変えるという。もともとのコンビ名は、NSC(吉本総合芸能学院)の講師がつけてくれた。改名を切り出した、ボケ担当の野村尚平(しょうへい)さん(30)いわく、

「プリマ旦那っていうのは、漫才師としてちょっとかわいらしすぎる感じがずっとあって。このまま名乗ってやっていくのが恥ずかしいと思いまして」

 そんな時、天皇の生前退位の報道を耳にした。所属する吉本興業にはすでに、平成ノブシコブシのように元号を使った先輩芸人がいる。自分たちも同じように、長く愛され、個性が際立つ名前に改名してはどうかと考えた。野村さんから相談された、ツッコミ担当の河野良祐(こうのりょうすけ)さん(32)は笑顔で話す。

「11年やってきた名前なので、変えると寂しくないといえばウソになるんですが、元号を屋号にするというのは企画としていいなと。今は、次の元号は何なのかとワクワクしています」

 2人は声を揃える。

「改名をきっかけに、もっと皆さまに知っていただけるような漫才師になるよう、精進していきます」

 思えば2017年12月、閣議決定で天皇退位の日程が19年4月30日となったあたりから、列島の改元ムードは高まっていった。昭和から平成への代替わりでも「平成〇〇」はつくられ、平成(へなり)地区(岐阜県関市)の町道は観光客で渋滞した。だが、今回は逝去ではなく生前退位による改元だ。不謹慎をおそれる必要もなく、30年前とは違い「前夜祭」を楽しむ余裕がある。

 若者文化に詳しいサイバーエージェント次世代生活研究所長の原田曜平さんは、背景に元号の存在意義の変化を見る。

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