──確かに、朝日新聞の18年2月の世論調査では、停止中の原発再稼働について「反対」が61%でした。しかし、自民党の古参議員もダメ、野党も頼れない。どうすればいいのでしょう。

 決して複雑ではない。新たな首相が「原発ゼロにしよう」と言えば実現する。首相の権限は強いから、首相が「原発ゼロ」を打ち出せばガラッと変わる。

 原発ゼロは私が首相在任中にやった郵政民営化よりはるかに楽。あの時は全員反対、共産党はもちろん全政党が反対だった。それでも争点にした05年9月の総選挙で勝てた。原発ゼロは根回しなんかしなくても、首相が方針さえ決めれば、後は専門家たちがきちんと道筋を整えてくれる。私はね、国民あげて「原発ゼロ」でやっていこうとなれば、千年万年かからない、100年ぐらいで全電源を自然エネルギーでやっていけると思う。

──いま「原発ゼロ」を言っている国会議員はいますか。

 自民党では河野太郎だね。いまは休会中だけど、12年3月に結成された、超党派で活動を続ける「原発ゼロの会」の創設メンバーだった。ただ彼は今、外務大臣をやっていて立場があるから言えないんだろう。だけど先見の明があったと思う。

──河野さんも「ポスト安倍」と目されています。ほかには誰かいますか。

 それはわからない。ただ、首相が言えば、反対できない。

 私は安倍さんが辞めた後、次の首相が「原発ゼロ」に踏み切るんじゃないかと思っている。そもそも自民党だって一枚岩じゃない。今は安倍さんが「やる」と言っているからみんな黙っているだけで、首相が「原発ゼロにする」と言えば、反対するのはごく少数だよ。

──小泉さんは一貫して脱原発の伝道師を続けています。次男の進次郎衆院議員はどのように考えているのでしょうか。

 私はもう政界を引退したから、進次郎に「ああしろ、こうしろ」とは言わない。しかし、進次郎は、私の書いた本(『原発ゼロ、やればできる』)は「読んだ」と言っていたし、私の原発ゼロに関する発言や講演なども動画などでよくチェックしているようだ。

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