鉄剤注射が陸上女子をつぶす…4割が不必要に注射の実態も (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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鉄剤注射が陸上女子をつぶす…4割が不必要に注射の実態も

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島沢優子AERA
図版=AERA 2019年3月18日号より

図版=AERA 2019年3月18日号より

貧血治療における鉄分摂取の方法と吸収する仕組みの違い(AERA 2019年3月18日号より)

貧血治療における鉄分摂取の方法と吸収する仕組みの違い(AERA 2019年3月18日号より)

「中学生の実態とほぼ重なっている。これを一部だけと決め付けず根絶を目指さなくてはいけない。指導者、選手、保護者に対する啓発を行っていきたい」(鎌田さん)

 一方、血液内科を専門とする首都圏在住の50代の男性医師は「医療の側の責任も大だ」と憤る。テレビのニュースを見て驚いた。長距離選手だった高校時代に鉄剤注射を打った女性が、就職して健康診断を受けたら、内臓疾患が見つかるなど体がぼろぼろだったと報じられていた。

「鉄剤注射は医師免許があれば誰でも打てる。専門外の先生たちは鉄の怖さを知らないのではないか。連続で打っていれば鉄過剰症になるし、糖尿病の原因にもなる。心臓に鉄がたまれば収縮力が落ちるので、運動パフォーマンスは悪くなる」

 走れるようにとやったことが、マイナス要因になるわけだ。

 自身の患者に、鉄剤注射によって鉄過剰症を起こしたケースはないが、アスリートにありがちな「鉄欠乏性貧血」の症状でやってくる中高の部活生がいる。生理のある女性が多いが、男子でも成長期に骨が急激に大きくなるなか、血液不足の状態になって鉄欠乏性貧血になるケースがある。

 基本的に内服薬で治療し、注射が必要になるのは、薬を飲むと胃腸障害や吐き気などを起こすごくまれなケースのみ。内服薬であれば、体が吸収しなかった分は体のほうがいらないよ、となるので、便などに出る。

 ところが、注射による投与はすべて体内にたまる(図参照)。

「良識ある医師なら、いくら頼まれてもそれはできないと断るのではないか」

 問題を重く見た医師会もすでに動いている。各都道府県医師会などに所属する約21万人の医師へ向け、安易に使用しないよう伝達した。(ライター・島沢優子)

AERA 2019年3月18日号より抜粋


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