──劇中で、山岸は「お客さまにマスカレード(仮面舞踏会)を楽しんでもらうのがホテルマンのサービス」、一方で新田は「市民の安全を守るのが警察のサービス」と語っているのが印象に残りました。では、お二人が俳優として「お客さまにしてあげたいサービス」は何でしょうか?

長澤:私個人がどうしたいというよりも、「この作品を観て良かったな」って思ってもらえるように、全力を尽くすことですね。娯楽を楽しむには時間が必要だから。わざわざ作品を観てくださる皆さんの時間を無駄にはしたくないし、期待を裏切りたくないなと思っています。

木村:僕は、究極的な話かもしれませんが、自分の参加した作品が、観てくださった方の人生の一部分になってくれたら、それが最高かな。映画の中でも、山岸が「ホテルに忘れたお守りを受験会場まで届けてくれたことが、フロントクラークを目指すきっかけになった」って語る部分があるんですけど、それこそドラマや映画を通じて、その人の人生を一歩前に進めるお手伝いができたら、すっごくいいなとは思います。

──もしかしたら「マスカレード・ホテル」を観て、ホテルマンになりたいっていう人もいるかもしれません。

木村:いてもおかしくないし、そうなったら素敵ですよね。

(ライター・澤田憲)

AERA 2019年1月28日号