──それは何故でしょう?
木村:うーん要は、誰が何をしてくれているのかってことを知っておきたいんですよ。映画だと、一つのシーンを準備するのに1時間以上かかることもあるんですけど、控え室にいるとそのプロセスがわからないから。もちろん、俳優としては本番さえきっちりやれば、それでいいんでしょうけど。でも僕は、陳列されたものだけではなくて、耕しているところも感じていたいというか。まあ、そこは好みの問題ですね。
──なるほど。本作では、超一流ホテルを再現した舞台美術も見どころの一つですが、お二人がこれまでに利用したホテルで印象に残っているものは?
長澤:以前泊まったホテルで、野菜とか食べるものを全部自給自足で作っているところがあって、それはすごく面白いなと思いました。ホテルというより「村」みたいな感覚で。
木村:長澤さんは、食べ物にはすごく気を使ってるよね。
長澤:割とそうですね、アレルギーが多いので。
木村:そうなの?
長澤:花粉も駄目ですし。
木村:それ花粉じゃん(笑)。食べ物じゃないよ。
長澤:あと、ハウスダストとか。
木村:だから食べ物じゃないじゃん! ゴミじゃんそれ!
長澤:食べ物で変わるんですよ、体質が。
木村:ああ、そういうことね。
長澤:木村さんは?
木村:何の話だっけ(笑)。ああ、印象に残ってるホテルか。僕は京都で撮影するときに、いつもお世話になっているホテルがあるんです。で、そこのスタッフの方に毎回ノックアウトさせられるんですけど、ホテルに入るといつも「おかえりなさい」って出迎えてくれるんですよ。
長澤:へえ! それ、普通の人も泊まれるホテルですか?
木村:え、はい。
長澤:実は木村さんしか行けないとか?
木村:いや、あの、どなたでも行けるホテルなんですけど……。
長澤:泊まった方の顔をみんな覚えているんですね。すごい!
木村:うん。それがすごく嬉しいし、そこが自分の京都でのベースというか、帰ってきたなっていう気になるんだよね。