◎「ジュリアン」


DVをテーマに家庭内暴力で離婚した両親の間で板挟みにあう少年の苦悩を描く。1月25日から全国順次公開。

■もう1本おすすめDVD 「シャイニング」

「ジュリアン」を撮るにあたって、スリラー映画を意識したルグラン監督がインスパイアされた一本として挙げたのが、スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」だ。

 舞台は冬の期間だけ雪のために閉鎖されるホテル。ここでは過去に管理人が家族を惨殺するという事件が起きていた。そんないわく付きのホテルに、小説家志望のジャックが妻と息子と共に、新しい管理人一家としてやって来る。

 雪に閉ざされた巨大なホテルという舞台設定、冷たさを際立たせる左右対称の構図、そこに立つ2人の少女、廊下を流れる血、不安を掻き立てる旋律、カメラワーク……ととことん怖い。だが、何が一番怖いって、やはりニコルソンが演じたジャックの狂気だろう。初めて映画を見た時は斧を振り回す彼に震え上がり、“イッちゃってる”顔が頭から離れず、悪夢まで見る始末。ホラーが苦手な筆者には強烈過ぎて、内容をほとんど覚えていなかった。長い間見直すこともできなかった思い出深いホラー映画だ。

◎「シャイニング」
発売・販売元:ワーナー・ブラザース
ホームエンターテイメント
価格1429円+税/DVD発売中

(フリーランス記者 坂口さゆり)

AERA 2019年1月28日号