ふなばし森のシティ(写真:野村不動産提供)
ふなばし森のシティ(写真:野村不動産提供)
ふなばし森のシティ(写真:野村不動産提供)
ふなばし森のシティ(写真:野村不動産提供)

 東日本大震災を経て、集合住宅に求められているニーズも変わってきているようだ。ハード面だけでなく、ソフト面にもこだわったマンションが登場している。

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 東武アーバンパークライン新船橋駅の目の前。17ヘクタールを超える旭硝子船橋工場跡地が、持続可能な街づくりの構想のもと生まれ変わったのが2014年7月に全体竣工した「ふなばし森のシティ」(千葉県船橋市)だ。約1500戸の住宅、ショッピングモール、銀行、病院、保育施設、公園や緑地を備えた街をつくるという大規模開発だ。フランス政府が推進する「エコカルティエ認証」(環境配慮型地区認証)をフランス国外では世界で初めて取得するなど、海外で高く評価されている。

 商品開発に携わった野村不動産ホールディングス経営企画部R&D推進課の石原菜穂子課長は、分譲後のマンションを見学する中で、中古で新しい住人が入居したり、そこで育った子ども世代が家族を作って新たに入居するといった世代循環があるマンションの人気の秘訣が、ハード面はもとより住民の質や管理組合のよさなどのソフト面にあるという例を見た。そういった多世代型・循環型のマンションの事例が、「森のシティ」にも生かされているという。

「近居というニーズもあったので、サービス付き高齢者向け住宅も作りました。マンションに住み続けるのが難しい時、サ高住に住み替えることもできます。世代が変わっても住み続けられる街を理想としています」

 東日本大震災などを経て、以前より集合住宅に住むことのリテラシーが格段に上がっているとも感じている。災害時や緊急時には、コミュニティーがセーフティーネットになるといった意識が住民側にも芽生えてきた。マンション内コミュニティーを良好にすることには注力してきたが、「森のシティ」ではマンションだけでなく町全体を盛り上げていこうと「街づくり協議会」を作った。

「シビックプライドを意識しながら作りました。以前はプライバシー性を売りにしていた時代もありましたが、いまでは隣人や地域と程よくつながる安心感が求められるようになりました」(石原さん)

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年1月14日号より抜粋