歌詞には、言葉遊びが仕込んである。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のエンディングテーマ、「GET A NOTE」は、ボブ・マーリーの曲「Get up, Stand up」にインスパイアを受けて作った。歌い出し、「あいつの下駄の音がしたんだ」は、英語めいた発音が格好いい。

「Get upが『下駄』、Stand upは『したんだ』、その間に『の音』を挟んで、GET  A NOTE(下駄の音)。『あいつの』は英語っぽく『Ah It’s now』と歌ってね。NOTEには音符という意味もあるし、実はおれはノート好きだしね。2重3重の意味にしていくのが楽しいんです」

 もしかして、これまでの楽曲には、聞き手に気づかれていない言葉遊びもある? 

「ありますよ。でも、それを言ったら興ざめでしょ。逆におれがみんなの発見を聞く楽しみもあるんです。歴史もそうでしょ。西郷どんや清少納言がどんな人だったか、ホントのところは誰もわからない。想像するのが、日本史の醍醐味ですよね」

 11月19日、ライブ会場の中野サンプラザに向かう人々の鞄に、オリジナルライブグッズ「稲穂」が揺れていた。まげのかつらをかぶった観客もいた。

「曲とライブのアイデア、メロディー、歌詞のテーマとキーワード。寝ても覚めても四六時中、ずっと考えています」

 全力投球の楽しさが、聴衆もミュージシャンをも魅了する。(編集部・澤志保)

AERA 2018年12月24日号