物を大切にする親世代に片付けを促すのは難しい。だが、持ち物のなかで値段のつくもの、売れないものを区別できれば、片付けの後押しになる。
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実家の片付けは親が元気なうちにやるのがベスト。でも、自分の家だって片付いていないわけで。わかっちゃいるけど、保留にしている人は少なくないと思う。というか、それは自分だ。
たまにしか行かない実家では、なぜか大量に取ってある包装紙や箱、レジ袋などの“コレクション”がやたら目に付いて、指さし確認しては、ダメ出し。これだけで母親には、「憲兵」呼ばわりされている。
これで本格的な片付けでも始まった日には両者元気だから、部屋はたとえ片付いても、気持ちのモヤモヤは片付かない。
そこで今回のミッションは、持ち物の価値を見いだしながら整理ができるサービスの活用ルポ。大量の荷物のなかで、価値があって値段がつくもの、価値がなくて売れないものを区別するのが、両者納得のいく片付けの第一歩になるという目論見だ。
まず、真っ先に思い出したのは、中野ブロードウェイに本店を置く全国チェーンの漫画専門古書店「まんだらけ」の「生前見積もり」というサービス。
「コレクションの整理を考えている方を対象に生前に見積もり査定をさせて頂き、お別れのときがきたら生前のご希望に沿ってコレクションを引き継ぐお手伝いをさせていただく個人向けのサービス」とあり、サイトからコレクションの写真を送るなどすると、見積書を発行してくれるという。
まんだらけは1980年代のオープンで、顧客のなかには60~70代の中高年コレクターも増えてきている。そうしたコレクターたちが心配するのは、自分の死後のコレクションの行く先だ。
「コレクションの価値がわからない家族に、捨てられてしまうことを懸念しているお客様も多い。そんなコレクターを救済するために、生前にコレクションの価値を見積もっておくサービスが生前見積もりとなります」